プロダンスリーグ「D.LEAGUE」で熱戦を繰り広げるDリーガーの素顔に迫る連載「Dリーガーのオドリバ」第8回は、SEGA SAMMY LUXのCANDOO(39)と、FULLCAST RAISERZのSOULJA TWIGGZ(27)のリーダー対談です。レギュラーシーズンも21日に、最終戦となるROUND.12を迎えます。【取材・構成=大友陽平、写真・動画=大野祥一、足立雅史、山崎安昭】
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-これまでのお互いの接点は?
SOULJA ちょっと昔ですが「DANCE ALIVE」を両国国技館に見に行った時に、CANDOOさんが戦っていた姿を見て、とても印象的でした。遠くからでもキャラクターが分かるというCANDOOさんのダンスを、鮮明に覚えています。
CANDOO 僕も「DANCE ALIVE」ですね。ヒップホップとか、フリースタイルで出ていて、すごいエナジー持ってるな、すごい! と思っていました。
-バトルで対戦したりは?
SOULJA それはなかったんですけど、去年か一昨年に、名古屋の大会に出た時に、CANDOOさんにジャッジしてもらった時がありました。SEPTENI RAPTURESのMiYUちゃんとかもいました。CANDOOさんに選ばれたのかは分からないですけど、選んでもらったことがあります。
CANDOO 多分、選んだと思うんだよなあ。
SOULJA そうですよね!
CANDOO 修斗くん(SOULJA)は、空気をつかんでましたね。会場を自分のものにしてましたし、インパクトがありました。KRUMPだけじゃないところもあって、両方備わってました。結構良かったですね!
SOULJA 今、ジャッジコメントをいただきました!(笑い)
CANDOO ダンスのいい色が出ていました。
-SOULJAさんから見てCANDOOさんは?
SOULJA D.LEAGUEが始まってからもそうですが、CANDOOさんは唯一無二のキャラクターで…。スキルはもちろんですが、本当にこうして自分が対談させていただいていいのかというぐらい大先輩で、ありがたいです。CANDOOさんが「NewSchoolOrder」というチームでイベントに出ていた時に、自分も「Twiggz fam」というチームで、川崎・クラブチッタの大きなイベントとかでも一緒で、かっこいいなと思ってました。結構そういう場面でも一緒になることが多かったです。
CANDOO コロナ禍になる前ですが、アンダーグラウンドシーンでいつも見ていたんです。だから、D.LEAGUEで会った時は「おお! いるんだ!」って(笑い)。逆に年齢がいっている俺がいるんだ! って思ったと思います(笑い)
-ダンスを始めたきっかけ
CANDOO きっかけは中2の時にスケボーをやっていて、練習で飛んだ時に、転んで思いっきりボードが口に当たって腫れて…。これは、何か物を使ってやることは向いてないと思って(笑い)。その時に友達が「ランニングマン」のような動きをやっていて、「それ何なの?」と。さらに「ダンスフィールド」というビデオを持っていて、ニューヨークのダンサーが出ている映像があって「これはやべえ!」ってなって、そこから始めました。京都出身なんですけど、最初は駅の近くの鏡で踊ったり、それを見に行ったりしながら、徐々に話し掛けて…。俺らのクルーはラップをやっている人間もいて、ラップのイベントに行って、そこからダンスに入っていって…みたいな感じでしたね。元々はDJクラブで踊るのが好きで、徐々にサークルになって、1人ずつ踊りだすみたいなのがすごく好きで、東京に出てきた時は、「HARLEM」という渋谷にあるクラブがあるんですけれども、「RED ZONE」という毎週火曜日にあったイベントに連れていってもらってたくさん踊ったり。何曜日はどこのクラブ…みたいな感じで。当時はクラブチッタで「メインストリート」という大きなステージもありました。カリスマカンタロー(D.LEAGUE神田勘太朗COO)くんが「DANCE ALIVE」を作ったので、それに出て、修斗くんとも出会って…という感じです。
SOULJA 僕は、最初小学生ぐらいの時に子役のようなスクールに入っていて、軽く踊ることがありました。中学の終わりくらいの頃に、そこにヒップホップの先生が来て、動きを見ているうちにすごくかっこいいなと。その人が踊りもそうでしたが、格好とかもめちゃめちゃカッコよくて、カルチャーショックを受けて…。そこからファッションだったり、ストリート系のカルチャーに引かれていきました。格好をするだけではバックボーンがないとかっこ悪いなと思って、じゃあ自分を裏付けるものは何だろうなと思ってストリートダンスを俺もやってみようと思って本格的に始めた感じでした。高校生くらいの時にEXPG STUDIOに入ったんですけど、その時に今はGENERATIONSの佐野玲於がいて、彼がKRUMPのスーパーキッズダンサーだったんです。彼の映像を見ているうちに「RAG POUND」にたどり着きました。ショーケースもかっこよくて、俺もやってみたいなというところで、玲於からも一緒にやろうと声をかけてもらって。その時に習いに行ったのが、ディレクターのJUNさんが教えているスタジオでした。それが高2ぐらいの頃で、KRUMPを始めたきっかけです。
-D.LEAGUEができると聞いて
CANDOO ビックリしましたよね。ついにこんな時が来たのかと。想像もできなかったです。
-参加することになって
CANDOO 俺も年なので…。いいのかな? って。(ディレクターの)BOBBYさんはもともと師匠でもあるんですけど、「どうだ?」って言われて…。ジェネレーションギャップも感じるだろうしとかいろいろ考えたんですけど、「Jリーグでいう、ラモス瑠偉枠だよ」って言われて(笑い)。そうであれば、いいのかなと。いろいろ考えましたね。
-ちなみにダンサー名の由来は?
SOULJA KRUMPのカルチャーでは、「BOSS」がいて、「TWIN」「BABY」みたいに名前をもらうんですね。何でもありなんですけど、その人にハマる感じで。俺は血走って、戦士っぽいので「SOULJA」です。
CANDOO 俺は、本名が「近藤」なんです。上京して、最初のあだ名が「コンドゥー」で、そこから…「キャンドゥー」に自然になっちゃったんです、気付いたら(笑い)。誰がきっかけかは分からないんですけど(笑い)。小学生時代は「コンちゃん」だったんですけどね。ただダンサーネームでも他にいないので、逆に良かったなって。でもたまに言われますね「百均ですか?」って(笑い)
-リーダーとして初年度を戦ってきました
SOULJA まず自分がリーダーに適しているのか? と自問自答しながらここまでやってきました。根本的に人を引っ張るような性格ではなかったので。ただ、JUNさんからもお願いしたいと言ってもらって、新たなチャレンジをさせてもらっています。僕らはもともと母体のチームが中心となっています。副リーダーのKTRもサポートしてくれますし、自分だけではここまで出来なかったです。引っ張るというのはこれまで控えていたので、今は練習でも自分から発言していこうとしていたり、この半年から1年を通して人間的には成長というか、新たな挑戦はしているという感じです。
CANDOO 俺も実際リーダーって今までやったことがなかったんです。先輩にずっと「一緒にやろうぜ」ってかわいがってもらいながら無我夢中にやってきて、パッと振り返ったらこの年になっていました。自分もどちらかというと引っ張る側ではなかったですし、バトルは出たことはありましたけど、コンテストも初めてだったんです。人をまとめて、チームがあって、コンテストに出る経験がなかったので、いけるかな? と。でも初めての経験だから絶対プラスになると思って引き受けました。俺ら全員“1期生”じゃないですか? だから年齢とか関係ないなと。ちょっとずつリーダーというか「リー」くらい(笑い)。最後に「リーダー」になれるのかな? とは思っています。
SOULJA 僕はまだ「リ」くらいです(笑い)
CANDOO 自分の意見はやっぱり重要になってきますし、まとめる部分でも、大変なんだという部分がすごくあります。LUXの最年少のHINATAは16歳とかで、俺が39歳なので「お父さんと子ども」です(笑い)。自分が若い頃もこうだったのかな? とか思い出しながら、毎日が新しいというか、新鮮な中で作品づくりもし続けて。すごいですよね。やっていることは、3~4年が6カ月にまとまってるくらいのスピードです。冷静になれる時間がないくらい(笑い)。終わってからゆっくり考えたいですが、リーダーという自覚は出来てきたかなとは思います。
-いよいよ最終戦です
CANDOO もう、前しか向いていません! あと3チームがどうなるかというギリギリのところなので、今までやってきたことを最大限に生かして、本当に気持ちを込めて、SEGA SAMMY LUXにしか出せないパフォーマンスで一致団結して、CHAMPIONSHIPに残れるように、1日1日を大事にしていくだけです。もう以前のことは忘れています。前しか見てないので。きっといい結果が出ると信じます。
SOULJA CHAMPIONSHIP進出は決まりましたが、気は抜けないですし、改めて気を引き締めてROUND.12を迎えることで、(CHAMPIONSHIP)の13試合目、14試合目といい流れにつながっていくのかなと思います。自分たちのKRUMPという武器をいかしてこれまで戦ってきたので、さらに熱量を上げていけたらなと思っています。
-個人の目標は?
SOULJA まだまだKRUMPというのはマイナーなダンスジャンルなので、D.LEAGUE、RAISERZ、そして自分を通して、KRUMPがもっと認知される世の中になればいいかなと、自分はそれを第一に考えています。
CANDOO 夢は、自分たちのメンバーがスターになって、世界に羽ばたいていってもらえたらうれしいです。あと、SEGASAMMY LUXのスタイルは、BOBBYさんの「J.S.B.スタイル」なんですけど、そのスタイルをもっと世界に広げて、いろいろな人に知ってもらって、日常でも踊ってるぐらい世界に浸透していけるようにしていきたいです。
◆CANDOO(キャンドゥー)1981年(昭56)11月8日、京都府生まれ。強烈なバイブスとパワー、顔でも踊るダンステクニックを兼ね備え、日本屈指のバトルダンサーとも呼び声が高い。「DANCE ALIVE HERO’S」ではHIPHOP部門で、09年、11年、14年をはじめ「DANCE ALIVE HERO’S FINAL 2017」も加えて、通算4度優勝している。
◆SOULJA TWIGGZ(ソルジャー・ツイッグス)1993年(平5)10月16日、東京都生まれ。表現力豊かで、長い手足や長身を生かしたダイナミックなパフォーマンスが特徴で、「Twiggz Fam」や「RAG POUND」の一員として活躍。これまでアーティストのサポートダンサーを務めるほか、RAPにも挑戦するなど活動や表現の幅を広げている。
◆ROUND.11(6月8日)ハイライト avex ROYALBRATSが第3戦以来、3勝目を挙げた。総合ポイントも85とし、上位4位以上のチームが出場できるCHAMPIONSHIP(7月1日、東京ガーデンシアター)進出を決めた。さらに総合1位のFULLCAST RAISERZ(88ポイント)も進出が決定した。
21日開催のROUND.12(最終戦)はKOSE 8ROCKS(74)、SEGA SAMMY LUX(74)、SEPTENI RAPTURES(73)の3チームが残り2枠をかけてしのぎを削る。ゲストダンサー審査員にTRF ETSUらが参加するほか、ゲスト審査員にはZeebra、剛力彩芽、りゅうちぇるが参加。ゲストアーティストには¥ellow Bucksが登場する。