第34回読売演劇大賞の今年上半期(1~6月)上演を対象にした中間選考の結果が先日発表され、男優賞には井上芳雄(47)篠井英介(67)中村時蔵(38)間宮祥太朗(33)とともに21歳の歌舞伎俳優市川染五郎がノミネートされました。初めてのノミネートですが、対象となった舞台は歌舞伎ではなく、初挑戦したシェークスピア作「ハムレット」でした。
「ハムレット」には祖父の松本白鸚(83)父の松本幸四郎(53)ともに10代で挑んでいます。「高麗屋」とは縁の深い作品ですが、染五郎ハムレットは、端正な容姿の中に野性的でアグレッシブな青年として、躍動感ある造形が印象的でした。
そんな染五郎が9月の歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」では、「一條大蔵譚」の一條大蔵長成に初めて挑戦します。取材会では「まだ早いと思います」と話していた染五郎ですが、初代中村吉右衛門の功績を後世に残すために「秀山祭」を始めた大叔父の二代目吉右衛門は、15歳の時に勉強会「木の芽会」で初めて演じています。平氏全盛の時代に源氏に心寄せる本心を隠すため、愚かなふりをして暮らす長成の姿にはハムレットにも通じるものがあり、染五郎がどのように演じるか楽しみです。
読売演劇大賞の1年を通しての最終的な選考結果は来年2月に発表される予定です。シェークスピア作品、歌舞伎で果敢に初役に挑む染五郎が、優秀賞として残るのか、新人賞に相当する杉村春子賞に選ばれるのか。注目したいと思います。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)





