落語家の春風亭小朝(71)が10月に28年ぶりに落語CDを発売します。1998年に「牡丹燈籠-御札はがし」を出して以来で、今回は「落語全集」シリーズとなり、発売元はこれまで落語とは縁のなかった「バンダイナムコミュージックライブ」。玩具メーカーの「バンダイ」とゲームソフトメーカーの「ナムコ」が合併した「バンダイナムコ」グループの音楽エンターテインメント企業で、落語CD発売は初めて。今、なぜ落語CDを出すことになったのか、小朝に話を聞きました。

「2020年のコロナ禍前から、『CDを出しませんか』という話があったけれど、『出す気はありません』と断っていました。でも、担当の方が僕の独演会や寄席に頻繁に来て、それが何年も続いたので、その熱意に話を聞いてみようと思ったんです」

最近は女性落語家の活躍や漫画「あかね噺」のアニメ放送などで若いファンが増えており、落語界の活況に「バンダイナムコ」も落語CD製作に乗り出した形だ。

「条件を2つ出しました。CDを出した後に『演出を変えたい』『サゲを変えたい』と思ったら、『同じ噺で第二弾を出してくれるか』と聞いたら、『出します』。違法アップロードは嫌なので『きちんと対処してくれるか』には『やります』と。これは信用できるなと思って。何よりも、扉を閉めているのにノックし続けてくれた熱量に動かされました」

10月28日に発売予定の第一回は、彫り物師を主人公にした人情噺「浜野矩髄(のりゆき)」と芸者通いする親子の滑稽噺「不孝者」。アニメやゲームに強い「バンダイナムコ」との異色タッグだけに、従来の落語CDとはまったく異なるものになるという。

「解説は普通、演芸評論家が、この噺をいつごろ出来て、誰が得意としていたなどと書くじゃないですか。今回は噺の背景を掘り下げるため、『浜野』は仏師(仏像彫刻家)で僧侶の方、『不孝者』は赤坂の芸者さんとの対談を掲載します。その道のプロとお話をするので、勉強になると思います。CDもナレーターが『小朝さんがこんな工夫しています』などと話して、僕の噺が始まります。ナレーターは人気声優の三石琴乃さんが登場します。ジャケットもイラストレーター、アニメーターによる描き下ろしのイラストを予定しています。本当に自由にやらせてもらっています」。

スタジオでの録音ではなく、落語会や寄席などライブ録音を行い、半年ごとに発売の予定。36人抜きの抜てき真打昇進、落語家初の日本武道館独演会、30日間連続独演会など落語界の歴史を切り拓いてきた小朝の新たな挑戦に注目です。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)