10年ぶりのシリーズ復活となった第7作には期待が先に立ち、前回の第8作は山盛りの課題を残した。42年前に創始者ジョージ・ルーカスが構想した9部作は本当に完結するのか。

シリーズ2本目のメガホンとなったJ・J・エイブラムス監督のスター・ウォーズ愛がきっちりと決着をつけてくれた。

フォースに目覚めたヒロイン、レイ(デイジー・リドリー)は、その力ゆえにダーク・サイドに振れそうに。悪の化身パルパティーンに操られるカイロ・レン(アダム・ドライバー)は母レイア姫(キャリー・フィッシャー)の心の声に良心を揺さぶられる。

メインとなる2人の対決は、全作に貫かれる善悪紙一重の危うさを体現しながら、憎しみを深め、矛盾するように絆を感じ合う。死者、賢者…歴代の登場人物の影も背中を押す。シリーズの重みを背負い、2人は目いっぱいの熱演だ。砂漠と荒波。2度の対決はアングル、動きに工夫がある。

善悪の決着がつくだけではなく、レイの出生の秘密を含め、すべての謎に答えが出る。ラストシーンは絵のように美しい。「スカイウォーカーの夜明け」の副題が心に染みてくる。【相原斎】

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