恋愛映画で初ヒロインを務めた古川琴音が、全編を通じて、とにかくかわいらしい。以前、当欄で別作品を紹介した際、「少女の顔のはざまに強烈な女を見せることにおいて屈指の存在だろう」と評したことがあるが、特に今作においては「妖精のよう」と言っても、言い過ぎではないだろう。それは、演じた役どころと不可分ではないはずだ。
英国留学でトラウマを抱え、音大に復学もピアノを辞めようと考えていた樋口湊人は、ピアノの音色に引き寄せられるように取り壊しが決まった旧講義棟に向かい、ミステリアスな雰囲気が漂う内藤雪乃と出会う。先に心引かれたのは湊人だが、互いに心を通わせ、授業をサボって海に行ったり、ピアノの連弾を楽しみ、互いにかけがえのない存在となっていくが、雪乃は姿を消してしまう。
古川演じる雪乃に心引かれていく湊人を演じたSixTONES京本大我は、今作が映画単独初主演。ほぼ未経験ながら、3カ月以上前から猛練習を重ねたピアノシーンはもちろん、苦悩する心情も細やかに演じ、作品の真ん中に、しっかりと立っている。一方で、古川演じる雪乃を追う、好きな女子に翻弄(ほんろう)される目は、アイドルとして追われる立場の、普段の京本とはひと味違う色をたたえているように映る。
劇場に足を運んだあなたは、京本と古川にきっと心奪われ、恋するだろう。互いに思い合う、愛はすばらしい…そう思える1本だ。【村上幸将】
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