全国でも珍しい「足の神様」として知られる大阪府豊中市にある服部天神宮にフィギュアスケート男子の羽生結弦選手(26=ANA)のファンが連日、訪れています。11月4日に右足関節靭帯(じんたい)損傷を発表後、約2週間で足の回復を願う言葉などが記入された絵馬が1000枚以上、奉納されました。ファンの間では靴ひもなどに通し、願いを込める同神社の「足守(あしまもり)」がツイッターなどのSNS上で広がっています。

「羽生結弦選手の右足の怪我が1日も早く治りますように 4Aが試合で成功しますように 羽生くんの夢が叶いますように」

服部天神宮の境内にはファンの切実な願いが書かれた絵馬がぎっしりとつるされています。「合格祈願」のスペースにもあふれる出るほどです。

服部天神宮の加藤芳哉宮司(62)は「11月上旬から日を追うごとにファンの方の数が増えています。朝早くから境内の百度石を黙々と往復しておられる方もいます。4年前とは比較にならないほどです」。

18年11月、羽生選手はNHK杯(大阪)の公式練習中に着氷した際、右足関節外側靱帯(じんたい)を損傷。18年平昌(ピョンチャン)五輪代表には選ばれましたが、故障の回復が五輪本番に間に合うか心配されていました。そのときも、「足の神様」に回復を祈願するファンの姿がありました。

同神社の「足の神様」の由来は、平安の昔、「学問の神様」菅原道真が大宰府に流される途中、持病の脚気(かっけ)の回復を、この地にあった医薬の神を祭ったほこらに願をかけたところ、すっかり治ったという言い伝えがあります。

4年前と比べ、参拝するファンの数は激増していますが、日々の生活の中でもいつも「願い」続けることができる「足守」を求めるファンも増えているようです。

「足守」を発案した同神社の加藤大志禰宜(ねぎ)によると、11月上旬以降、「ファンの方からのオンラインでの注文が増えています」。梅がデザインされた「足守」は、靴ひもなどに通し、それぞれの願いを込めて、結びつけておきます。「梅の花開くように、願いが花開きますように」の思いが込められています。

羽生選手は94年ぶりの3連覇が懸かる北京五輪を目指すかどうかは、明言していませんが、ファンは1日も早い回復を祈っています。「絵馬の言葉の数々に胸が熱くなります」という加藤宮司は、毎朝の「日供祭」で羽生選手の回復を祈願しています。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

服部天神宮に羽生選手の回復を願う絵馬がぎっしり(撮影・松浦隆司)
服部天神宮に羽生選手の回復を願う絵馬がぎっしり(撮影・松浦隆司)
服部天神宮の「足守」(撮影・松浦隆司)
服部天神宮の「足守」(撮影・松浦隆司)