「黒帯」について書きたい。もちろん、大阪吉本の漫才コンビ・黒帯(てらうち、大西進)のことである。高校時代の柔道部で出会った同級生コンビ。ともに38歳なので、若手とはいいにくいが、現在もっとも勢いのあるコンビだと見ている。
インタビュー取材などに出てくる機会は少ない方だが、珍しく先日、2人そろって「M-1グランプリ2025スペシャルツアーファイナル」の記者会見に現れた。
期待通り、会見では黒帯らしさを全開させた。ツアーにはたくろう、ドンデコルテ、エバース、豪快キャプテンら昨年のM-1決勝メンバーが参加。一方、黒帯はラストイヤーの昨年も準決勝止まりだった。一種の「M-1コンプレックス」を抱いていても不思議ではない。
大西は彼らしいシニカルな笑顔を見せつつ「ファイナリストが登場すると会場は盛り上がりますが、僕らは無理してその輪に入ろうとせず、はしゃぐことなくいつも通りにやりたいですね」。
今年から結成16年以上の大会THE SECONDに挑み、黒帯は見事グランプリファイナル(ベストエイト)に進出。全国ネットのゴールデンタイムで漫才を披露したが「(SECONDは)M-1に勝てなかった負け犬の大会ですから」と、参加者が耳にすれば激怒しそうなコメントも、涼しい顔で言ってのけた。
昨年、てらうち、大西そろって結婚を発表し、当時「女性ファンが離れて人気が落ちるかも」と恐れていた。そのことを聞くと、てらうちは「ファンは減っていないようです。女性ファンは俺たちを男として見てなかったんでしょうか。ちょっと寂しいような…」と記者を爆笑させた。
活動拠点である大阪・よしもと漫才劇場では、今年7月末で祇園、吉田たち、デルマパンゲら10組のコンビが卒業する。ボーダーとなったのはNSC大阪31期で、32期扱いの黒帯はギリギリのところで漫才劇場に残ることになった(黒帯は松竹芸能の養成所出身で、NSC出身ではない)。
大西は「卒業でなくラッキーでした」と本音を吐露。てらうちも「あぶなかった(笑い)もう少し漫才劇場の舞台に立っていたいので」と苦笑した。
ここまで黒帯を見てきた者のひとりとして記者は、他の若手漫才コンビとひと味違うにおいを彼らに感じている。それはエリートではない泥くささ。松竹から吉本に移籍したはいいが、周囲となじむのに苦労し、内なるコンプレックスと「負けてたまるか」という闘争心を抱えて漫才を演じてきた。
黒帯の兄貴分として、金属バットの存在がある。こちらはNSC出身ながら、漫才劇場に所属せず、独自の道を切り開いてきた。M-1グランプリでは花開くことはなかったが、SECONDで唯一の4年連続グランプリファイナリスト。今や最も注目を集め、最も危険なコンビとなった。
黒帯はまさに金属バットの後を追っているように見える。6月12日の「M-1グランプリ2025スペシャルツアーファイナルARIAKE公演」(東京ガーデンシアター)そして7月5日の「THE SECONDライブツアー2026~今、全盛期の漫才師達~in大阪」(クールジャパンパーク大阪WWホール)に相次いで登場。M-1とSECONDを股にかけて大暴れする。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミへキタへ~」)




