劇場にふらりと行くと、思わぬ発見に出合うことがある。8月2日の大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)。「グランドバトル第1部」が、まさにそうだった。

グランドバトルとは、マンゲキに所属する芸人が参加して競い合うイベント。この日の目当ては、昨年11月にコンビ結成した「アイラブ地球」と、20世紀を解散してピン芸人として再スタートした「しげ」だった。いずれも、これまで生でネタを見る機会がなく、ワクワクしながら劇場に足を運んだ。

アイラブ地球は、キャリアに似合わず(?)アクションを交えての熱演漫才。一方のしげも、舞台を大きく使っての漫談で観客を笑わせた。第1部だけで25組ほどが出演し、初めて見かける芸人も何人かいたが、楽しいライブだった。

グランドバトルには、マンゲキメンバー入りをかけて舞台に登場する芸人もいる。ファンと審査員の投票によるランキングで10位以内(1、2部合わせて)に入れば、晴れてメンバーとなり、マンゲキに出演することができる。メンバーか否か、この差は想像以上に大きく、NSC(吉本の養成所)を卒業した面々は、まずマンゲキ入りを目指す。メンバー入りして、ようやくプロの芸人としてスタートを切る、といってもいい。

オーディションを勝ち抜いて、この日「10位に食い込めばメンバー入り」というポジションにいたのが、芸歴17年目のピン芸人アシダヒモビッチ。結果をいえば、総合2位で見事にマンゲキ入りを決めたのだが、この日のライブは秀逸だった。いわゆるフリップを使っての漫談なのだが、しっかりと会場の空気をつかんでいた。

「38歳にして6つのアルバイトを掛け持ち」「子どももいて大変」と、若手芸人の苦労を隠さず、自虐を交えつつも客席から爆笑を呼んでいた。明るいキャラクターがファンの共感を招いたのかもしれない。予備知識ゼロで、この人の舞台を見たが、素晴らしかった。この日の熱気があれば、R-1グランプリの決勝でもいい勝負ができるのではないか。

チャンスはつかんだ。マンゲキでの出演機会もこれから増えていくだろう。今は無名でも、一発逆転の魅力が芸能界にはある。公式プロフィルによると、大阪出身、さらに185センチという長身。デビューは吉本ではなく、小さな事務所を経て、ここまでやってきた苦労人。アシダヒモビッチというユニークな芸名を今のうちにチェックしておきたい。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミへキタへ~」)