三代目 J SOUL BROTHERS登坂広臣(34)がデビュー10周年を迎え、充実の時を送っている。グループ活動をはじめ、ソロでも「φMI(オミ)」として、12日にはEP盤「ANSWER...SHADOW」を発売。自らの“影”もさらけ出しながら、表現者として進化を遂げている。

★穴が開くような感覚

昨年11月に、デビュー10年を迎えた。美容師を経て、アパレルショップで働いていた普通の青年は、今や日本を代表するグループのボーカリストだ。

「何歳まで生きられるかは分からないですけど、この10年以上に濃密で、激動の10年って、きっとこの後の人生で訪れることはないと思います」

「R.Y.U.S.E.I.」など数々のヒット曲を生み出しながら、10年間でグループとして4度、全国ドームツアーのステージに立った。ソロとしても昨年、今市隆二(34)と合同でドームツアーを成功。これまで7人で浴びていたスポットライトを独り占めすると、見えてきたのは自らの“影”だったという。最新EP盤「ANSWER...SHADOW」では、心の中にある孤独や闇、葛藤など“影”を表現した。

「今までは、例えば弱い部分は見せなくていいものだと思っていました。ただ、強い光が当たれば当たるほど影が濃くなるように、自分自身も心の中にどこか穴が開くような感覚が少なからずあったんです。そこで感じたものを音楽に乗せて発信して、表現するのもいいんじゃないか? それを表現しようとしてる自分を受け入れられるようにもなれたんです」

今年2月から、自身がプロデュースするプロジェクト「CDL entertainment」の本格始動とともに、ソロアーティスト名義を「φMI」にした。

「ファンの皆さんもメンバーも家族も『OMI』って呼んでくれますし、慣れ親しんでる名前です。ソロとグループでは全く違うものを生み出してる感覚もありますし、アーティスト性も違ったりするので」

★ロミオとジュリエット

広臣という名前は、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」の「ロミオ」から、祖母が命名してくれた。「ヒロ」でなく「オミ」と呼ばれるようになったのは、活発で目が離せない存在だったという少年時代に由来する。

「小さい頃、母と買い物に行くとすぐ迷子になるタイプで、『ヒロ』って呼ぶと該当する子が別にいたりして、すぐに見つからないと(笑い)。本当に活発で、家で遊ぶことはほとんどない感じで。目立つことも大好きでした」

学生時代はサッカーに明け暮れる毎日。姉の影響で自宅にピアノはあったというが、興味は示さず。合唱コンクールが大好きで、歌うことも好きだったが、音楽活動とは無縁だった。

「カラオケも、モテるためにうまく歌いたいという感じでした(笑い)。ただ今思うと、地元が米軍基地に近かったので、アメリカの音楽はすごく身近に感じられる環境だったりはしたんです。その時は音楽にはまらなかった人間が、今こうして音楽をやっているのも不思議ですよね」

★きらびやかな世界に

歌手としての道を開いたのは、10年の「VOCAL BATTLE AUDITION(VBA)2」に合格したことだが、そのきっかけとなったのは、公私ともに仲が良いEXILE TAKAHIRO(36)の存在だった。

「きらびやかな世界にいってみたいという気持ちはありましたが、そもそもなれるとは思っていませんでした。美容専門学生時代に、美容師だったTAKAHIROさんがオーディションでEXILEに加入して、『俺もなれるかもしれない!』って、勝手に親近感が湧いたんです。一度社会に出ましたが、この仕事を続けていくのかな? と思った時に何か違うなと思って、もう23歳でしたし、ラストチャンスだと思って受けました」

「VBA2」で合格したボーカル2人をはじめ、さまざまな場所から7つの星が集まって結成されたのが三代目 J SOUL BROTHERSだ。

「僕らは、ずっと小さい頃から一緒にやってきたわけではなくて“寄せ集め”ですが、お互いを知らないからこそ向き合おうという努力はしてきました」

パフォーマーも存在感を放つが、ボーカルが背負う責任も大きい。

「みんなグループの看板を背負って活動しているんですけど、ボーカルは自分が発した言葉がグループの言葉になるのだと思うと、背負わないといけないですし、使命でもあります。だから肉体的な部分とか技術はもちろんですが、精神的な部分の維持の方が大変ですね。自分の場合は、考えすぎないようにしたり、気にしすぎないようにしたり“なんとかなるさ”という精神はあると思います」

★年齢にあらがわずに

登坂広臣としても年齢にあらがうことなく、さらなる進化を目指していく。

「理想は、その年代を純粋に楽しめる大人になりたいなと思います。憧れるかっこいい男性って、その年齢でその時代を生きてる人の方がかっこいいなって思うんです。自分も思い描いていた通りに中身も外見もちゃんと大人になっていきたいです。結婚願望ですか? 今はないんですけど、それもタイミングがあればそうなるだろうし、純粋に受け止めながら生きていきたいなと思います」

コロナ禍で思うような活動ができなかった昨年の分も、今年を“記念イヤー”として盛り上げていく。

「10周年を迎えて、自分たちも大人のグループになってきました。今はブームやヒットの生まれ方も数年前とは変わってきていますが、それを受け止めながら、自分たちだったらこうしようと思えるような年齢になっています。例えば、みんなが40代になったからこそ歌える『R.Y.U.S.E.I.』もきっとあると思いますし、自分たちとファンの皆さんも同じように時は流れているので、そういう感覚も共感し合いながら、一緒に歩んでいければと思います」

7つの星はそれぞれの輝きを放ちながら、10年の時を経て絆を深め1つとなり、これからも大きな光を放ち続ける。【大友陽平】

▼所属事務所の先輩のEXILE TAKAHIRO(36) クールなイメージを持たれることが多いと思いますが、一緒にいる時はよく笑ってくれますし、とにかく優しいです。ビックリするほど気が利く一面もあり、食事の席や日常の中で、非常にスマートな気配りが出来る“ズルい男”です(笑い)。いろいろなことが落ち着いたら、まずはすしに行きましょう。カウンター席で見るすてきな横顔、期待しています!!(笑い)

◆登坂広臣(とさか・ひろおみ)1987年(昭62)3月12日、東京都生まれ。10年9月に「VBA2」に合格し、同11月に三代目 J SOUL BROTHERSとしてデビュー。14年に「ホットロード」で映画に初主演。17年からソロプロジェクトを本格始動し、18年に初の全国ソロアリーナツアー開催。19年、劇場版「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」の主題歌「BLUE SAPPHIRE」を担当。同年7月、LDHソロアーティスト初の海外単独公演を台北で開催。昨年1~2月、今市隆二と合同でドームツアーも成功。血液型A。

◆EP盤「ANSWER...SHADOW」 登坂にとってソロ初のEP盤。昨年1月発売のアルバム「Who Are You?」に対する“アンサー”作品。タイトル曲をはじめ、「Can You See The Light」など収録。5月12日発売。

(2021年5月2日本紙掲載)