アイドルグループのフォーリーブスのメンバーだった青山孝史さん(享年57)の長男でロック歌手の城下カズ(32)が明日16日から全国ツアーを行う。神戸を皮切りに9月まで約20公演を予定している。「今はどうしても、青山孝史の息子と見られますが、それは運命。しっかりと受け入れながら、ロックアーティストとして、自分の信じた道を進んでいきたい」と話す。

 音楽に興味を持ったのは中学生の時。X JAPANの曲に衝撃を受けた。「ロックっていいな」。両親の離婚の影響などもあって児童自立支援施設で約1年4カ月過ごした時、ギターに出合った。「ギター好きの先生がいて、1日に1時間ある自由時間はずっと弾いていました」。施設卒業後、17歳でバンドを結成。19歳でデビューし、ギタリストとして活動したが、バンドは2年後に解散。バーテンダーやDJなどをしていたが、周囲の勧めもあって30歳の時にロック歌手として再デビューした。ライブハウスなどのステージに立ち、インディーズながらシングルやアルバムも発表した。

 疎遠だった父とも、フォーリーブス再結成の準備が進む01年ごろから会うようになった。複雑な思いもあったが、今も忘れられない光景がある。末期がんを宣告されながらもステージに立ち続けた姿だ。「亡くなる3カ月前、ディナーショーの楽屋で鏡をじっと見ながら『おれの顔、何でこんなになってしまったのか』とつぶやいていた。それでもステージでは見事に歌いきる。おれのおやじはやっぱりプロの歌手だったんだと素直に思えた」。青山さんは09年に肝臓がんのため死去した。

 昨年結婚して子供も生まれた。「子供から尊敬される父親になりたい。だから音楽で完全燃焼したい」。まるで、尊敬する亡き父の生きざまと自分を重ね合わせているようだった。【松本久】

 ◆城下(しろした)カズ 本名城下一正。1982年(昭57)8月4日、東京都生まれ。01年にバンド「VIRUS(バイラス)」のメンバーでギター担当のKAZUとしてデビュー。ロック歌手として13年10月シングル「Fly Away!~ボクは再生する」で再デビュー。同11月に初アルバム「HEART」発売。今年5月に2枚目シングル「LIFE IS SHORT」発売。母は元ミスユニバース日本代表の島田じゅん。180センチ。血液型O。