奔放な言動でブレーク中の漫画家蛭子能収(67)が23日、都内で著書「蛭子能収のゆるゆる人生相談」刊行記念サイン会を行った。テレビ東京系「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」で見せるいいかげんさを、この日も発揮。「人生相談はしない。他人には分からないし相談しても仕方がない」と言い出して取材陣をあきれさせた。

 「えっ、こんなこと言ってないよ」。蛭子が突然、大声を上げた。著書の中のお気に入りの回答を聞かれると、あわててページをめくりながら、ある箇所で目を留めた。ブレークのきっかけになった「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」の相棒、太川陽介(56)に触れたページで、「太川陽介さんはすごく子どもっぽくて困る」と書かれていた。「外してほしいな」。既に売り出されている自著にあわてて注文をつけたが、当然ながら後の祭りだった。

 女性週刊誌「女性自身」の連載をまとめたもの。「相談に答えるのは本当は面倒くさい。僕に相談しても同じなのに。仕事でお金をもらっているのでやっている」。人生相談したいことを聞かれると「人生相談したいことはない。だって、他人に分かるわけない。相談しても仕方がない」と人生相談そのものに否定的な発言が飛び出し、取材陣を困惑させた。

 さらに太川についての「言ってないよ」発言を引き合いに、本当に自分で書いたのか追及されると「自分が言ったことを書いてもらった」と、ゴーストライターの存在をあっさりと認めた。また「毎週載っているの? 知らなかった。2カ月おきに答えていたから」と、掲載誌を読んでいない疑惑まで浮上した。

 テレビ出演などが相次ぎ多忙な日々を送っている。この日はズボンのポケットから40万円が入った銀行の封筒を取り出して取材陣を驚かせた。「ポケットが財布なの。忙しさは長く続けたい。一気になくなるのが怖い。僕は言われた通りに動いているだけ。自分から余計なことはしない。心の中でムカッとしても、表に出さない」と蛭子流処世術も明かした。

 著書の回答の中で「映画の主演をする」と書いた件を聞かれると「そんなこと載ってます? 発表前で、(主演話が)流れてしまうかもしれないし」と、最後までゆるゆるだった。【林尚之】

 ◆蛭子能収(えびす・よしかず)1947年(昭22)10月21日、熊本県生まれ。73年「月刊漫画ガロ」掲載の「パチンコ」で漫画家デビュー。72年に長女誕生を機に結婚。74年に長男誕生。ダスキンに入社して会社員生活を送るが、70年代後半から再び漫画家として活動。82年に初単行本「地獄に堕ちた教師ども」発売後、ダスキン退社。01年に妻が死去。07年に再婚。07年からテレビ東京系「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」に出演。

<蛭子能収の仰天エピソード>

 ◆ギャンブル1億負け ボートレース、マージャン、パチンコ好き。1億円以上負けていると公言。旅番組でバス待ちで時間が空き「パチンコに行ってくるわ」と姿を消したこともある。

 ◆正直「セックス」 思ったことは口にする。旅番組で出てきたエビに「小さい」、旅館に入ると「ビジネスホテルが良かった」。大林素子に「セックスしたことある?」と尋ねたこともある。

 ◆笑い上戸…葬儀で 笑ってはいけない場面で笑う。ファンクラブ会長の葬儀で自著がひつぎに納められるのを見て笑いが止まらなくなり、あぜんとさせた。悲劇的な死を遂げたテンポイントを悼む番組でも笑い、ひんしゅくを買った。

 ◆あいさつは「迷惑」 楽屋であいさつをせず「礼儀知らず」と言われている。「あいさつされた方も迷惑。いちいちあいさつされた方が大変じゃないですか」と釈明。