気になる静岡県テレビ局のアナウンサーを紹介する連載「静岡アナ 気になリスト」。静岡朝日テレビ森直美アナ(28)の登場です。現在、「スポーツパラダイス」のMCを担当。とにかく明るいイメージで大学時代は、日本テレビ系「恋のから騒ぎ」に出演するなどしていました。ただ、就職活動は大苦戦だったようです。「その1」は就活編。

 -アナウンサーを目指した動機は

 中学生の時、女性アナウンサーと野球選手がよく結婚していたので、あこがれました。母も「ええで、野球選手は。かっこええし、お金もあるし」と。ただ、高校の先生に面談で「そんなのなれるわけない」と言われ、腹が立って本気になりましたね。

 -この連載で初めて聞いた動機です(笑い)

 でも、アナウンススクールには行きませんでした。人前に出る実践的な経験を積んだ方がいいと思っていたので。

 -それで、「恋のから騒ぎ」に

 はい。大学3年で応募しました。オーディションで「私の彼は俳優志望でナルシシスト。デートには綿密な台本があったんです」なんて話したら受かりました。

 -本番で、さんまさんにイジられましたか

 それが初日にイジられず、「あ~、終わった」と。結局、しゃべったり、しゃべんなかったりで、印象にない感じになりました。キー局の就活も重なって、精神的にズタボロでした。

 -キー局の結果は

 エントリーシートで落ちたりしました。面接に行っても、まだたくさんいる中で落ちたり。大阪の準キー局もすぐに落ちました。「何でだ」と腹が立ちましたね。その後もやけになって受けましたが、外資系の製薬会社に内定をいただいていました。就活する時に「夢かお金か」と考えて、夢がかなわないのなら、お給料のいい会社を選ぼうと思いまして。

 -静岡朝日テレビを受験するきかっけは

 4年の夏頃、夢をあきらめきれず、地方局を受けていたんですが、ある局の最終面接を前に、控え室でアナウンススクールの生徒さんたちが「静岡で追加採用試験があるらしい」と話していたんです。私、耳をダンボにして盗み聞きして「メモメモ」と。その通りに募集が出たんですよ。試験は4年生の11月で、最後のつもりで受けました。

 -執念ですね。試験の手応えはありましたか

 私、試験に落ちすぎていたせいか、もう、吹っ切れていました。途中から関西弁でしゃべって、G大阪がいかに好きかを伝えました。で、「清水エスパルスはどうですか」と聞かれ、「応援がすごすぎて、ガンバのスタジアムに来ると、負けた気がするんです」と言いました。そんな感じだったので、母には「関西弁でしゃべってもうたし、ここもあかんと思うわ」とメールしました。「これで解放された。夢をあきらめられる」という気持ちでした。

 -でも内定。中学からの夢がかないましたね

 後日の役員面接を終え、帰りの新幹線内で電話を受けて、めっちゃ泣きました。母に電話したら、やっぱり泣いていました。後から会社から評価を聞くと「韓国の女優さんみたいに堂々としていたのが良かった」と。それだけ、開き直っていたということなんですかね。

 ドラマチックな就活を終え、アナウンサーとして働き始めた森アナ。1年目から同期の広瀬麻知子アナとともに奮闘する日々が始まりました。2年目からは、希望通りにスポーツ番組を担当。充実感も得つつ、悩みもあったそうです。「その2」で語っています。【柳田通斉、鈴木正章】(つづく)

 ◆森直美(もり・なおみ)1987年(昭62)6月3日、兵庫県姫路市生まれ。同大政策学部卒。10年4月に入社。主な担当番組は「スポーツパラダイス」「とびっきり!しずおか」。趣味はヨガ、ゴルフだが、「運動は子供の頃から苦手」と公言している。