東北ゆかりのスターたちに生い立ちやターニングポイントを聞く「わたしのツクリカタ」。宮城県出身・サンドウィッチマン編の最終回は、伊達みきお(41)と富沢たけし(42)がそろって登場します。自分たちの子育てについて語ったあと、東日本大震災で被災した子供たちに向けてメッセージを送ってくれました。
富沢 今、男の子2人を育てていますけど、好きなもんをみつけるまではやりたいと思うものをやればいいんじゃないかと。ただ、ケンカとかになった時に「やり返せ」とは言ってます。こっちから手を出しちゃだめよ、女の子には手をあげちゃだめ、男にやられたらやり返せと。
こういう仕事をしていると、子供がいじめられる恐れがあるじゃないですか。クイズ番組でボケて「お前のおやじばかだな」とかなったりするのかなあと。そこを切り抜けられるかどうかは結局、自分次第。強く育てたいなと思います。戦わなきゃいけないところは戦わないといけない。逃げるなと。
1回、友達にかまれたことがあって、やり返せよとずっと言ってて、うんと言っていたんですけど、ある日、子供が「やり返すって何?」。そこがわかってなかったのかって(笑い)。やられた分はやるんだよって教えてなくて、びっくりしました。割と心の優しい子なので、そういう厳しさも教えていかないとなあって。女の子だと別の心配があるでしょうし、変な芸人にひっかからなきゃいいなって(笑い)。
伊達 うちは女の子だから、芸人にさえ、ひっかからなければ(笑い)。震災から5年ですか。自分が通っていた渡波小学校(宮城県石巻市)も1階の天井まで水が来たんですよ。先生としゃべった時、子供たちが見なくていいものを見てしまったとおっしゃっていた。流れ着いた遺体とか。自分だったらトラウマになってしまう。
小学校1年のとき、おばあちゃんが亡くなって。初めていった火葬場の雰囲気とかにおいとか、まだ覚えている。そういうのを経験して大人になるわけですから。火葬場で見る遺体とは違う遺体を見ているんだから、子供たちが相当強くないと。でもそういうのを乗り越えていけば、相当、強い大人になると思います。
富沢 被災地の子供たちと接するときはいつも葛藤しますね。明るくても身内を亡くしたとか、どこかで深い悲しみをもっている子が多いんだろうなっていう、そこを聞くべきなのか、触れない方がいいのか。結局、触れないことが多いですけど。
東北の子供たちは比較的おとなしいですけど、心(しん)がしっかりしてる。そんなに自己主張が強くないけど、しっかり自分を持っている。NHKで「東北発☆未来塾」という番組をやっているんですけど、そういうのを見てても、地元に恩返ししたいと言う子たちがこんなにいるんだって。震災を経験した子供たちが将来、どんな大人になってくれるかすごく楽しみではある。だからこそ、何かを生み出してくれそうな気がするんですけど。
伊達 震災直後、陸前高田の中学生がインタビューを受けていて、この街は我々世代がなんとかします、と答えていた。すげー子供がいたなと。くよくよしている大人たちもいるなか、強い子供たちを僕らは何人も見てきた。避難所で走り回っている子供もいて。親も下を向いていられない。子供たちも、自分たちが笑っていたらお父さん、お母さんも笑うんだ、って知っているんですよ。賢いなと。人の命の大切さとか、こういうふうにすれば誰かが喜ぶ、っていうのを実感してきた子供たちは、立派な大人になると思う。僕らがまた教わることになると思う。
富沢 でも、1度は地元を出てみてほしいとは思います。自分もそうでしたけど、仙台ってすごくいいところなんですけど、出てみないとわからない。外からみると、ああこんなところも良かったんだというすごい発見がある。地元がもっと好きになる人が多くなると思う。みんな冒険をしてほしいです。(この回終わり)
◆富沢たけし 本名・富沢岳史。1974年(昭49)4月30日、宮城・仙台市生まれ。98年、仙台商ラグビー部の同級生、伊達みきおと、お笑いコンビ・サンドウィッチマンを結成。07年にM-1グランプリで優勝した。特技はスポーツゲームと寡黙。
◆伊達みきお 本名・伊達幹生。1974年(昭49)9月5日生まれ、宮城・仙台市出身。仙台商ラグビー部の富沢たけしと、お笑いコンビ・サンドウィッチマンを結成。07年にM-1グランプリで優勝した。特技は生卵とゆで卵を見分けられること。
◆サンドウィッチマンと東日本大震災 11年3月11日、宮城・気仙沼市内の魚市場をロケ中に震度6弱の揺れに見舞われた。撮影スタッフの指示で高台へ避難。直後に津波が続々と家屋をのみ込んでいく光景を目の当たりにした。「生きて帰ってきたのは偶然じゃない。これが俺たちの使命」との思いで、被災地、被災者支援に奔走。「東北魂」と名付けた義援金口座も開設した。現在でも定期的に被災地を訪問し、復興状況を外に発信し続けている。
(5月5日付 日刊スポーツ東北版掲載)
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