助演男優賞の妻夫木聡(36)は笑顔で受賞のあいさつを述べた。

 「映画に出させていただくたびに、人と作品との出会いは本当に大事だと感じます。僕はすごく運のいい人間だと思います。自分を高めてくれて、今日ここに立っていられるのも、映画界の皆さんのおかげ。もっともっと映画界に貢献できるようになりたいです」

 拍手とカメラのフラッシュを浴びると、2度、3度と頭を下げた。過去に「ザ・マジックアワー」などで共演した主演男優賞の佐藤浩市(56)から肩を抱かれ、談笑する一幕もあった。

 今年は「怒り」「ミュージアム」「家族はつらいよ」「殿、利息でござる!」と、まったく異なる役を演じ分け、「覚悟と挑戦の年でした」。全て全力で臨んだが、特に「怒り」で演じた同性愛者役には特別な思いがあった。「ずっとやってみたかった役だったんです。日本はまだゲイの文化について認知度が低いと思うし、そういう方々をしっかり描いた作品に出たかった」。恋人を演じ、役作りのため実際にホテルで同居生活を送った綾野剛(34)にはとても感謝しているという。

 来年も「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」(9月公開)など複数の作品に出演を控える。「もっとどっしり腰を据えないといけないと思うんです。独り立ちできるようになりたい」と力を込めた。【横山慧】