思い返しながら語るうち、海老蔵の目から涙がこぼれた。海老蔵は「泣いちゃいますよね。そのひと言を言って、そのまま旅立ちました。彼女が『る』と言ったかどうか分からないくらい。こんなに愛されていたのは分かっていたんですけど、最後の最後まで愛してくれていた」。両手でほおをぬぐったが、次から次へと涙があふれてきた。

 麻央さんを「自分を変えてくれた奥さん」と表現した海老蔵。どんな状況でも相手を思いやる麻央さんの気持ちは、家族だけでなく、同じ病で苦しむ人にも向けられた。ブログで思いを共有し、元気になったら自分の経験を役に立てたいという思いで闘病した。海老蔵は「すごい人。総合的に教わったことは愛」と、ただただ尊敬の念を抱いた。

 愛を教えてくれた大切な人には、幸せで長く生きてほしかった。海老蔵は「できればずっと一緒にいて、私の方が先に逝って、彼女にはもっと幸せに、もっと楽しく、私は役者として成長していく過程を見守ってほしかった」と語った。

 2人は7年前に結婚した。海老蔵のプロポーズの言葉は「来世も再来世も一緒にいよう」だった。海老蔵は「そのつもりでいます。僕が愛想を尽かされないように頑張らないと」と語った。少しでも前向きな言葉が出たのは、長女麗禾(れいか)ちゃん(5)長男勸玄(かんげん)くん(4)の様子を見たからでもあった。2人とも麻央さんの最期を見守り、亡くなった後も麻央さんの顔や足を触ったり、手を握るなどしていたという。海老蔵は「これから母親が重要な存在になる(時期)。代わりはできないけど、できる限りやっていきたい」と誓った。