幕末期に大阪で完成した伝統の「水芸」が8日、大阪・なんばグランド花月のイエスシアターで開催された。

 2月の文楽劇場での公演が盛況だったことから、関西演芸推進協議会の主催で再演。主演の藤山新太郎らが繰り出す数々の奇術に、会場は大いに盛り上がった。

 藤山は、客席の希望の品を箱の中から取り出して見せるマジック「一里四方取寄術(いちりしほうとりよせのじゅつ)」も演じた。バナナ、みかん、現金、551の豚まん…。観客がメモ用紙に書いた希望に次々と応えていき、「道頓堀の水」という一風変わった指定にも「水と言ったって、道頓堀のかどうか、わからないじゃない」と言いながら、あっさり水を取り出してみせた。

 大トリの水芸は圧巻だった。藤山の扇子の動きに合わせて、舞台上のあちこちから水が噴き出し、次の瞬間には扇子から立ち上る。最後の場面では舞台に無数の水柱ができあがった。藤山は「年にいっぺんくらい、大阪でやりたいですね。来年もまたやりますんで、見にきてください」と呼びかけ、大きな拍手を浴びていた。