角川文化振興財団主催の第63回角川短歌賞で、モデルの知花くらら(35)カン・ハンナ(36)が入選したことが26日、分かった。25日発行の雑誌「短歌」(同財団)で発表された。角川短歌賞は歌壇の登竜門とされる新人賞で、俵万智さんらを輩出したことで知られる。

 ハンナはソウル生まれ。韓国でキャスターやモデルとして活動後、来日した。横浜国立大の大学院に通いながらタレント活動をし、NHKの短歌番組にも出演。大賞に次ぐ次席に選ばれた「膨らんだ風船抱いて」50首は、〈「竹島」と「靖国神社」を聞くごとに水を飲んでも止(や)まぬしゃっくり〉など日韓の複雑な関係を自らに引き付けた点が、評価された。

 次席に次ぐ佳作だった知花さんの「ナイルパーチの鱗(うろこ)」50首は、〈こめかみに刺さる視線 錆(さ)びたねぢをばらまいたやうな難民キャンプで〉など、国連の世界食糧計画(WFP)の日本大使として、シリア難民の支援に携わった経験を詠んだ。

 ハンナは「日本に来て短歌に出会えて本当に良かった。美しい日本語の魅力を世界にも発信していきたい」。知花も「国連の活動での出会いが歌を詠む原動力になった。これからも大好きな歌を続けていきたい」とコメントしている。

 応募総数607編のうち、予選を通過した30編を、作者名を伏せて選考。睦月都さん(26)の「十七月の娘たち」50首が大賞に選ばれたことは、8月末に先行して発表された。