4日に70歳で亡くなった楽天の星野仙一球団副会長が中日時代から交流のあった阪神ファンの朝日放送エグゼクティブ・アナウンサー、道上洋三氏(74)が8日、大阪市内で取材に応じ、星野さんと「阪神と楽天で日本シリーズ」を約束していたことを明かした。

 この日は、大阪・お初天神で行われた新春恒例「歌う王冠 2018」ヒット祈願。日本クラウンの演歌歌手らが合同で新年の成功祈願をするイベントで、昨年11月に「きょうは記念日」をリリースした道上氏は初参加。年明け早々に受けた訃報について、取材に応じた。

 ABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」(月~金曜、午前6時30分)を40年務める道上氏は、星野さんが中日エースの時代から触れ合っていた。3年前、道上アナが北海道、宮城へ「行ったことない球場に行こう」と交流戦の阪神を応援に行き、楽天生命パーク宮城で、星野さんに会った。

 星野さんから「なんだ? 楽天ファンになったのか」と言われ、談笑に発展。「話している中で、互いに『阪神と楽天で日本シリーズをいつかやりたい』と…。今日(その日)がその前哨戦や、と盛り上がった。本当に野球が好きなんやなと」。星野さんとの最後の会話を振り返った。

 道上アナは、タイガースに肩入れした放送を続け、リスナーに支持を得ており、番組を始めて「3~4年たったころ」に、星野さんへ放送中に“直電”したことがあった。それが交流の最初だった。

 阪神が星野さんに完封負けした翌日で「それを朝の8時に電話してね。なんで阪神に来てくれへんかったんか、言うと、星野さんは『あんたのとこ(阪神)が(ドラフトで)田淵(幸一)を指名したんやないか』と怒鳴り返された」という。

 その数年後、オールスター戦の会場で会い、道上アナから星野さんに電話の御礼を述べると、星野さんは「いきなり握手してくれた」そうだ。

 「ああ! あのときの!と。初めて会った人(の心)をつかまえるのがうまい、ジジ殺しとか言われてますけど、まさにその通り。あの握手の力、目ヂカラ、政治力、その手腕…どれもこれも、すごい人でした」

 星野さんの偉大さを痛感。後に阪神監督に就いた際、真っ先に「(阪神の)選手にタニマチを近づけないようにしたい」と相談されたといい、タイガース改革への本気度を実感。公式戦の開幕初戦の前、星野さんに「今日のオーダーは?」と聞くと「いや、エースは前の晩は寝れんもんや」と、まったく答えにならない答えが返ってきた。

 「ごまかしたという空気はなくて、そらもう、心ここにあらずという感じ、そのもの。あれだけの経験をもってしても、こんなに緊張するんやと思った」と言い、星野さんの野球へ向き合うまっすぐさ、純粋さを思い知ったと明かしていた。