米朝一門の人気落語家、桂吉弥(47)が15日、大阪市内で、毎年恒例の「桂吉弥独演会」(5月8日、サンケイホールブリーゼ)の取材会を開き、席上で、26日の上方落語協会総会で、昨年末からの不倫騒動で揺れた桂文枝会長(74)に「説明を求める」質問をすると宣言した。

 今年は2年に1度の会長選が控えており、今月7日には文枝会長らが出席して理事会を開催。26日の総会で、今年の選挙スケジュールや詳細を詰めることなどを決めた。歴代最長8期目の文枝会長は勇退を公言しつつも、周囲の勧めもあって動向が不透明。昨年末には不倫騒動もあり、総会での発言内容に注目が集まっている。

 その流れの中で、若手筆頭格の吉弥は「僕らが会長から直接、お話を聞くのは(不倫騒動後)初めてなので、どうしはんねやろ? というのはあります」。ここまで、総会はあったが、文枝会長からは、会長選への進退も含めて、説明がまだなく「財務省じゃないけど、口裏合わせとかあるのかな」と、国会を揺るがす森友学園問題を引き合いに、ジョークも飛ばした。

 吉弥ら若手も、もちろん、上方に戦後初の定席「天満天神繁昌亭」を開館させた文枝会長の手腕には感謝している。多くの寄付を集め、上方悲願を成就させた背景には「文枝会長やから出来たのは分かります。そうでしょう」と話す。

 ただ、一方で、昨年末に発覚した日舞の先生との不倫騒動では、出会いや、話し合いのもつれなど、舞台が「繁昌亭」であったことを問題視。吉弥は「繁昌亭を中心にして、いろんなことがあったと(報道に)書かれている。そこはどうなんや? と。これは僕らにも、お客さんにも、説明があっていいんじゃないかと思う」と感じている。

 総会では「そこを(直接)投げかけたい。聞きたい」と言い、普段、接する機会が少ない会長に、“若手代表”として質問する覚悟だという。

 吉弥と同期入門の世代には、ツイッター上での貧困バッシングで炎上するなど、斬新な物言いで注目される桂春蝶(43)がいる。さらに、文枝会長の弟弟子、桂文福の弟子で、会長と同門にある桂文鹿(48)も同期。文鹿は、不倫騒動が7月開館の神戸「喜楽館」の命名問題にも及んだことから、経緯説明がないことなどの理由で、会長を批判する声をあげている。

 吉弥も「僕ら、そういう(声をあげる)期なんですわ」と苦笑。上方落語を復興させた「四天王」は全員が亡くなり、協会は過渡期にあるが、上方落語の発展を願う気持ちはみな、同じ。その思いが、今回の発言につながったようだ。

 また、吉弥は、今年の独演会では、05年に亡くなった師匠の桂吉朝さん(享年50)が、最後に演じた「弱法師(よろぼし)」を演じると決めた。大師匠の桂米朝さんが、その師匠の先代桂米団治から書き起こしたネタで、「吉朝の最後のネタをきっちりと伝えていきたい」と、決意も口にしている。