静岡朝日テレビ夕方ワイド「とびっきり!しずおか」のメインキャスターで、今月9日に亡くなった大沼啓延(おおぬま・ひろのぶ)さん(享年68)の通夜が、静岡市内でしめやかに行われた。かつてテレビ朝日系「スーパーモーニング」でコンビを組んだ伊藤聡子キャスター、三雲孝江アナウンサー、タレント久保ひとみら約600人が参列した。

 喪主は、妻の司会者の相沢早苗さんが務めた。参列者に気丈に応対。通夜前には取材に応じ、大沼さんが4月28日、倒れて病院に搬送される直前まで発声練習をしていたことなどを明かした。

 「CDのレコーディングをすごく楽しみにしていました。応急処置で痛みはおさまり、(急性大動脈かい離で)手術を受ける前も『2、3日休むことになるかな』と言って、お医者さんに『もっと、かかりますよ』と言われたほどでした。これまで1度も番組を病欠したことがなかった主人からすれば、初めて休むことが無念だったと思います」

 手術は成功したが、大沼さんは目覚めることなく、肺炎で逝去した。

 「意識がない中でも、私が『静岡』と言ったら、反応していました。今は、静岡のみなさんに悲しんでいただいて、私は『大沼を静岡からお預かりしていたんだな』と思います。静岡に生まれ、静岡が大好きな人でしたから」

 祭壇の横には、甘党の大沼さんをしのび、「大沼」の焼き印がされた「ずんどう焼き」が供えられた。「昨秋、興津の本舗が閉じまして、大沼さんが引き取った製あん機で作りました」と関係者。「あんこ番長」を自称した大沼さんならではのエピソードも、参列者の涙を誘った。【柳田通斉】