「傷だらけのローラ」「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」などのヒット曲で知られ、ドラマやバラエティー番組でも活躍した歌手の西城秀樹(さいじょう・ひでき)さん(本名・木本龍雄=きもと・たつお)が16日午後11時53分、急性心不全のため横浜市内の病院で死去したことが17日、分かった。63歳。葬儀・告別式は26日に東京・青山葬儀所で営まれる。

 16日に亡くなった西城秀樹さんは野口五郎(62)郷ひろみ(62)とともに「新ご三家」と呼ばれ、一時代を築いた。17日、訃報を耳にした野口は混乱した。所属事務所を通じて「あまりにも突然で、今は言葉が見つかりません。気持ちの整理がつくまで少し時間をください。申し訳ありません」とだけコメントを発表した。郷は何とかコメントだけは発表したが、マスコミの前には姿を現さなかった。「同世代として、とても残念です。ボクの中で長男は(野口)五郎、次男は秀樹、末っ子がボクでした」と3人を兄弟に例えた。「秀樹が先に逝ってしまったこと、とても悲しい気持ちでいっぱいです。デビュー当時、右も左もわからなかったボクに『ひろみ、何かわからないことがあったらオレに聞いてくれ』と親身になってくれたこと、一生忘れません」と、兄との別れを悲しんだ。26日の葬儀では、「長男」野口が弔辞を読むことが検討されている。

 同学年の「新ご三家」は、70年代にトップアイドルとして競い合い、それぞれに相違点と共通点を持ちながら対照的なキャラクターを光らせた。当時、芸能誌として影響力があった月刊「平凡」や「明星」の人気投票で上位を独占。60年代に活躍した橋幸夫、西郷輝彦、舟木一夫の「ご三家」に続く、新ご三家と呼ばれるのは自然だった。

 秀樹さんはリズム感、演技力で郷と、歌唱力、音楽性で野口とトップを競う図式だった。3人そろって番組共演したのはデビューから2年後で、報道陣が100人も集まる事件となった。

 歌番組のフジテレビ「夜のヒットスタジオ」は、70年代から80年代にかけて3人のうち少なくとも1人が必ず出演するのが習わしだった。歌番組に欠かせなかった新ご三家から、秀樹さんが旅立ってしまった。