俳優横内正が77歳の喜寿を迎え、先日、都内で8月の主演舞台「リア王」(東京・三越劇場)の会見と「喜寿の祝い」を行った。

 横内は俳優座出身で、若い頃からシェークスピア劇に出演し、4大悲劇の1つ「リア王」をいつか演じたいと思っていたという。それが実現したのが2年前、75歳の時で、初挑戦が75歳というのは世界的にも珍しいことだった。

 もともとよく通る発声には定評があったが、横内のリア王は、王座を譲ったばかりの威厳と傲慢(ごうまん)を持つ、変に老人くさくない王様だったのが良かった。76歳の時にも再演し、今回が3度目の上演となるが、初めて演出も兼ねることになった。「面はゆいけれど、2回やって、自分なら、ここはこうしたら面白くなるとか、思うところもあって、演出もやることになった」。

 時代劇ドラマ「水戸黄門」の初代格さん役で人気者になり、今は舞台を中心に活躍している。「一般的には高齢だが、若者には負けない。いたって元気で、青春の血がたぎっている。酒好きで昔はむちゃしたが、今はおとなしく独身生活を謳歌(おうか)かしている。終活も考えないといけない年かもしれないが、自叙伝など書くと、逆に短命で終わるんだ」と意気軒高だった。

 喜寿を祝う会では、俳優座時代の同期生も駆けつけたが、みんなで並ぶと、横内の若さが際立っていた。最後には歌を堂々たる声量で披露するほどの元気さで、「舞台をやっている最中に倒れるようなことはない」という言葉にも、納得した。