アコースティックギタリスト押尾コータロー(51)が大阪市内で日刊スポーツの取材に答え、2年3カ月ぶりの新アルバム「Encounter」(エンカウンター=2月20日発売)をPRした。ソロ名義で15枚目となる新作はタイトル名の通り「出会い」をテーマに制作。この2年余りの間に自身の音楽人生の中で交錯した様々なアーティストや楽曲との「出会い」を振り返り、14曲にその感謝を込めて収録した。

例えば4曲目『久音-KUON-』は、ピアニストで音楽プロデューサーの梁邦彦から依頼されて作った曲。梁は昨年行われた平昌五輪の開・閉会式で音楽監督を務めたが、この曲も平昌応援アルバムの1曲として収録された。「メジャー・キーの有名なアリランだと思って簡単に考えていたら、実際はジョンソンアリランというジョンソン郡のアリランでメロディーがマイナーだった。どうしようか悩んだのですが、やっぱり自分らしく、ギター小僧も弾きたくなるようなアレンジにできないかと考えた」と話す。

また6曲目の『Pushing Tail』は15年に他界したギタリスト石田長生さんが生前、押尾とのセッションのために書き下ろした1曲。タイトルを和訳すると「押・尾」の意味で石田さんらしく遊び心に富んでいる。「気遣いの人。演奏も格好いいけど、人として尊敬しています」と振り返る。石田さんのステージでは「(ジャズの名曲)『セント・トーマス』を演奏したかと思えば、新喜劇のオープニング曲で笑わしたり、とにかくサービス精神旺盛な関西のノリだった」と話し、今回も「石やんとの出会いや温かさを思いながら収録しました」。

他にも、世界的なクラシックギタリストの朴葵姫(パクキュヒ)に依頼されて作った『Harmonia』のセルフカバーや、昨年ビルボードライブでの初共演が実現した、憧れのウィリアム・アッカーマンとのセッション曲「ナユタ」などエピソードが尽きない。

昨年インストゥルメンタルギターデュオ・DEPAPEPEとのコラボレーションユニット「DEPAPEKO(デパぺコ)」の初カバーアルバムが好評だった。その制作過程で、例えば、人気バンドSEKAI NO OWARIのヒット曲『Dragon Night』からは多くのことを学んだと言い、12曲目『teardrop』の制作に活かされたと話す。「もちろん自分の知らない音楽はいっぱいありますが、そこに思いも寄らない表現方法があったり、刺激があったり。自分のアレンジの幅も広がるだろうし、出会いを大切にしたいですね」。

このアルバムを引っ提げて、3月8日の大阪NHKホール公演から、全国14都市でのツアーが始まる。詳細は公式サイト(https://www.kotaro-oshio.com/)を参照。アコースティックギター1本のライブとしては国内最高峰のレベルを堪能できる。