演歌歌手小林幸子(65)が21日、福島・郡山市の「けんしん郡山文化センター」で行われた、東日本大震災復興支援コンサートに参加し、募金箱を持って義援金を呼び掛けた。

ウィーン少年合唱団と、南相馬市の女声合唱団「MJCアンサンブル」などがベートーベン作曲の「第九」を同じステージで歌唱。主催の「世界音楽合唱チャリティー協会」会長を夫の林明男さん(57)が務めている縁で、小林は“裏方の1人”として駆け付けた。

「この会場は自分のコンサートでは何度も来ているけど、今日は気持ちが違います。ここにいることができて、すごくうれしい」。新潟出身で、中越地震(04年)や中越沖地震(07年)からの復興支援を現在も続けている小林だけに、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で傷ついた福島を思いやる気持ちが強い。「会場には被災をされた方も大勢いて、今日は感謝の思いしかないです。支援は長く続けることが大切。決して忘れてはいけないと思う」。そして「振り返ると、平成は災害が多い時代でした。令和の新時代は、みんなが明るく幸せで暮らせたらいいな」と続けた。

「第9」を歌唱することで、震災からの復興を支援するプロジェクトは2014年にスタート。オーストリアのウィーンで毎年、演奏会を実施し、MJCは14年と18年の2回参加してきた。

これまでは、公演のチケット代全額を支援金にあててきたが、この日の約1700人は全員が無料招待。募金箱に集まった金額だけが支援金になる。「だから責任重大です」。小林は開演前だけでなく、終演後にも通路に立って「募金をお願いしまーす」と声を張りあげていた。

小林の隣に立った林氏は「福島というと、海外では原発の影響を心配する声がまだある。ウィーン少年合唱団の親からもありました。でも、『福島は安全なんだ』という、安全宣言を世界に発信したかった。福島がはい上がっている姿を世界にアピールしたかった」と、福島開催の意義を強調していた。