毎年恒例の上方落語のファン感謝祭「彦八まつり」が1日、大阪市天王寺区の生国魂神社で2日目を迎えた。

奉納落語会第1部の「はなしか映画祭」で、原作・脚本・監督を桂あやめ(55)が務め、09年に制作された「あなたのためならどこまでも」が上演された。上演後はあやめと主演の月亭八光(42)が登場し、その後落語を披露した。

この映画は、笑福亭鶴瓶(67)月亭八方(71)桂ざこば(71)桂文枝(76)など50人以上の落語家が出演している。架空の落語家の世界を描き、10年前の彦八まつりのために制作された。DVD化などはされていない。

八光演じる主人公が、鶴瓶演じる師匠に独演会をやってほしいとお願いする。腕はあるが、所在不明の師匠は「会長選挙で当選したらやったるわ」と約束。「一票をお願いします」と各一門を走り回り、「師匠のためなら」と靴の中に入った酒を飲んだりする。

上演後、あやめは「1週間で脚本を書いた。(時間の)抜けがある人にどんどん聞いて、文枝、ざこば、鶴瓶が2時間ずつあいて撮れた」と明かした。撮影期間は4日半。八光は撮影時、初対面の落語家がいっぱいいたそうだが「10年たってほとんど覚えていません」と笑わせた。

作品では、会長選挙のシーンがあり、八光は「リアル。ちょこちょこ文福師匠の謎かけ入るのもリアル。もめたときも文福師匠が和やかな雰囲気にする」と話した。

また、アフロ頭で出演している鶴瓶は、出演の条件が「アフロだけかぶらせてくれ」だったという。あやめは「直前まで吉永小百合さんと『弟』って映画撮ってて、こっちで息抜きたかったらしい」と鶴瓶への出演オファーを振り返った。

撮影は、まつりのためにギャラなしで行われたという。DVD化などはされていない奇跡の作品となっている。あやめは「町のためにタダで出てもらってるし、事務所バラバラやし、特に吉本が…」と笑わせた。