石原さとみ(32)が主演、吉田鋼太郎(60)が演出し出演する舞台「アジアの女」の6日の初日を控え、5日にシアターコクーンで最終舞台稽古が行われた。

18年2~3月の「密やかな結晶」以来、1年半ぶりの舞台となる石原は、大災害の起きた東京で壊滅した家に住み続ける兄妹の妹、麻希子役を演じる。かつて心の病を患っていた役で、テレビドラマの明るいイメージとはギャップのある、純粋さと狂気のはざまで生きる石原の演技が見どころ。麻希子を見守りながら共に暮らす元編集者の兄・晃郎役に山内圭哉、麻希子に思いを寄せる警官・村田役に矢本悠馬、麻希子を外の世界に連れ出す女性・鳥居役に水口早香、兄妹に変化を与えることになる作家の一ノ瀬に吉田の、計5人が出演する。

石原は「毎日が本当に充実した、密度の濃い稽古期間でした。鋼太郎さんの演出は役者に伝える言葉が繊細で、戯曲の解釈が広く深く、とても多くの発見を頂ける日々でした」と吉田から刺激を受けた日々を回想。「1カ月間、常にこの作品のこと、芝居のことを考えていましたし、きっと千秋楽までずっと考え続けると思います。お客様にも、この物語からたくさんのことを感じて考えていただけるような作品にできるよう、5人力を合わせて頑張ります」とコメントした。

同作は、劇作家・演出家の長塚圭史氏が06年、新国立劇場の上演のため書き下ろし、自ら演出。長塚作品に多く出演する吉田にとっては、盟友の作品の演出を担うことになる。吉田は「稽古をしていく中で、長塚圭史の戯曲が持つ奥深さ、世の中を見る目の鋭さを改めてかみしめる日々でした」とコメント。石原についても「この作品は、石原さとみという稀有(けう)な女優の存在無しには完成しません。彼女の繊細で、その内に閃光(せんこう)のような強さを持ったきらめきと、山内君、矢本君、水口さんの個性的かつ確かな芝居が交差したときに何が起こるか、自分も舞台の上で体感するのを楽しみにしています」と絶賛した。

東京公演は同所で29日まで。