元アイドルが、異国の地で奮闘している。上枝恵美加(25)は、17年7月にNMB48を卒業後、単身でスペインに渡り、現在はモデルとしてCM出演するなど、活躍の幅を広げている。このほど、一時帰国中の上枝に話を聞いた。【大友陽平】

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上枝は現在、スペイン・バルセロナから約80キロほど離れたタラゴナに住んで、芸能活動を行っている。現地に渡って2年ほどが経過した。

「最初の1年はビザの関係で何もできず、今は働けるようになって、チャンスをいただけて、結構忙しくさせてもらっています」

NMB48在籍中に語学の学校に通うなど、もともと海外で芝居の勉強をしたいという夢があったという。エンタメの本場といえば米国などが有名だが、あえてスペインを選んだ。

「人と同じことをしたくない性格で(笑い)。ロンドンとかも考えたんですけど、スペインは1度旅行で行った時に過ごしやすい印象がありました。英語だけじゃなくて、当時はしゃべれなかったですけどスペイン語とか、カタルーニャ語をしゃべれる女優さんって、あまりいないと思いますし、パイオニアになれればと選びました」。

現地で学校に通いながら語学を習得し、現地の芸能事務所「La Central」に自ら履歴書を送って所属。オーディションの紹介などの窓口になるが、日本のように専属のマネジャーはおらず、全て自分で行っているという。

「現場に行く時にマネジャーさんは日本のようにいないですし、通訳してくれる人もいないです。撮影したCMも、映っているのか自分で確認します(笑い)」

スペインに渡った直後は、ホームシックにかかったこともあったという。周りに日本人もおらず、異国の地で1人だった。

「ただでさえホームシックになる時に、仕事も何もできず、カルチャーショックもあったり、最初はずっと泣いてました」

そんなとき救ってくれたのが、ダンスなど、NMB48での経験だった。

「ダンスは言葉もいらないですし、見ればすぐに覚えられるようになっていたので、カタルーニャの伝統的なダンスを学べるスクールに行ったり、1歩踏み出せた形になりました。あと、NMBのことをスペインでも知ってくださった方もいたんです。日本文化イベントに来てくれて。こんな遠いところにもファンの方がいたなんて…。スペインに来てないと気が付かないですし、感動しました」

米国の「マクドナルド」のネット広告や、「Almond Breeze」などのCMに出演。最近では、スペインで定番の食品で、ウナギの稚魚を模した食料品「La Gula del Norte」のCMでスペイン俳優のロベルト・レアルと共演するなど、活躍の幅を広げている。

「もっと鼻が高かったら…とか自分のコンプレックスだった部分が、向こうでは絶賛されます。アイドルの文化もないので、そこに食い付かれることもありますし、視野も広がりました。今後は、映画とかドラマとか、日本人役で出演して名前を広めたいですし、さらに世界に広がっていけばと思います。10月からダンススクールで講師も始めたので、あわよくばアイドルも作れたらおもしろいですよね」

○…先月末から今月上旬にかけてバルセロナで行われた日本文化イベント「MANGA BARCELONA」にAKB48メンバーが出演したが、出演交渉にあたったのが上枝だった。「昨年出させていただいた縁で、主催者の方からもぜひAKBに出て欲しいと言われて、AKSに直接交渉しに行きました。なんだか不思議な感じでしたね」と笑顔を見せた。

○…48グループ出身で、海外で活動する卒業生には、インドネシアで仲川遥香(27)、台湾で阿部マリア(24)らがいる。いずれも、JKT48、AKB48 TeamTPと、卒業時に現地のグループに所属。竹内美宥(23)高橋朱里(22)は、それぞれ韓国を拠点に活動している。

◆上枝恵美加(かみえだ・えみか)1994年(平6)7月13日、大阪府生まれ。11年12月、NMB48の3期生に合格。12年10月結成のチームB2でキャプテン。13年のじゃんけん大会で2位。17年7月にグループ卒業後にスペインに渡り、マクドナルドの米国でのウェブCMなどに出演。10月からはタラゴナのダンススクールで講師も。12月1日に大阪・なんばオルケスタでクリスマスイベント開催。同2日からはアプリ「ファニコン」で公式ファンアプリ(https://fanicon.net/fancommunities/1805)も開始。162センチ。血液型B。