新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、3月2日から当面の間、直営劇場などすべての公演を中止または延期すると発表した吉本興業の落語家、桂文枝(76)は、3月4日に大阪・なんばグランド花月で、生涯目標のひとつ「創作300作」を発表する予定だった独演会も中止になったことを報告した。
文枝は2月29日夜、自身のブログを「残念ながら」のタイトルで更新。「所属事務所の決断から、3月4日の創作落語300作達成独演会は中止となりました」とし、購入チケットの払い戻し対応先などを記し「誠に申し訳ありません」と書き込んだ。
吉本はここまで、各所で興行やスポーツイベントの中止、延期が発表されていく中、感性予防対策を重ね、公演を決行してきたが、29日になって、3月2日以降の公演取りやめを決断するに至った。
文枝は「僕も長い落語家生活はじめての経験で、ここ何日かどうなるのか、周りのイベント中止や無観客のスポーツの開催をみても、覚悟はしておりましたが、その決定まで気が気ではなく、稽古に身が入りませんでした」とも吐露した。
天才とうたわれた上方落語での同世代、故桂枝雀さんに対抗して、創作を手がけ始めた文枝。古典の芸を極め、高座にこだわった枝雀さんにライバル心を燃やし、自身はタレント活動に加えて、自ら落語を作り、生み出す道を選び、まい進してきた。
桂三枝から、師匠の名跡を継いだ後も「生涯創作300作」を次の目標に掲げ、ライフワークとしてきた。その300作目は「ハッピーエンジェル」と題し、ネタ下ろしへ磨いていたが、無念の中止となった。
文枝は「いずれどこかで発表の機会があると思いますので、気を取り直して取り組んで行く所存でございます」と決意も新たにしている。
また、その数時間後には、前日夜に関西の大学病院の「先生と一緒だった」とし「日本にはノーベル賞を取る立派な医学者がたくさんいるのに、なんでコロナウイルスをやっつける薬がすぐにできまへんねん?」と、素朴な疑問をぶつけたことも明かした。
すると「こんどのやつは、かなり厄介なもので、簡単にはいかないんですよ」と返されたといい「どうやら今までのとはちょっと違うようです。とにかく、ウイルスにつけこまれないように、健康体でいるしか、ないようです。うがい手洗い、マスクにアルコール消毒やってます。皆様もお気をつけ下さいませ!」と呼びかけていた。