元宝塚歌劇団花組トップの女優明日海りお(34)が、声優に初挑戦することが19日、分かった。昨年11月の退団後、初仕事となる。

関係者によると、ディズニーの人気アニメの実写映画「ムーラン」(ニキ・カーロ監督、5月22日公開)の日本版で、主人公ムーランの声を演じる。また、魔法使いシェンニャンの声を小池栄子(39)が演じるという。

家族を守るため、愛する父の代わりに、自身を男と偽って兵士となり、本当の自分と偽りの自分の間で葛藤する少女ムーランを演じる。男役トップスターだった明日海にはピッタリ。

語りだしたら1週間は止まらないというほどのディズニー好きという明日海は「『もしディズニーの吹き替えのオーディションがあればぜひエントリーしたいです』と事務所の人に伝えようと思っていた時にちょうどオーディションの連絡が来て、鳥肌が立ちました」と運命的なタイミングでオファーがあったことを明かした。

宝塚では戦いのシーンを多く演じたことがある。「力強いかけ声や、『ハァ~』とか『フッ』などの息づかいはすごく役に立ったと思います」と経験を生かせたという。一方で「女の子としてムーランが生活しているときに、不自然さが漂ってしまって、男に扮(ふん)しているときの声がなじむというか、リラックスしてしまう時があります」。さらに「ムーランが男として振る舞うことのけなげさとか初々しさがなくなってしまい」と男役を長らく演じてきた明日海ならではの苦労もあったという。

それでもムーランと何日も向き合い「格好いいなとほれてしまうみたいなところがとてもあります」と紹介した。

一方、小池は、魔法を持つ者がゆえに人々から疎んじられ、孤独を感じ、自分の居場所を求めて敵に加担する実写版オリジナルキャラクターの魔女シェンニャンの声を担当する。小池は初のディズニー作品の吹き替えの参加。「夢だったのでうれしかったです。魔女役はやりがいがあります」。さらに「本当の自分はこんなふうではなかったと葛藤しながら、時には姉のように、時には母のようにムーランを導く。シェンニャンは、実は優しくて愛情深い人。私も声をあてながら、ウルウルッと泣きそうになりました」とコメントした。

◆明日海(あすみ)りお 1985年(昭60)6月26日、静岡市生まれ。03年に入団し月組配属。12年に月組準トップになった後、13年に花組に移り、宝塚歌劇100周年の14年に花組トップに就任。15年に文化庁芸術祭新人賞受賞。平成以降では歴代3番目となる5年半もトップを務め、トップとして主演した大劇場公演は100%超の動員力を誇った。19年11月に退団。今年1月に芸能事務所の研音に所属。169センチ。