落語家桂ざこば(72)が席亭を務める大阪・動楽亭が1日、公演を再開した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月11日から休館していたが、この日、ざこばが「みなさんお元気でした? 大丈夫でっか? わし感染になって戻ってきたいうやついてます? 大丈夫ですか? よかったですな。えらいことでんがな」とあいさつした。

大阪では、上方落語の本拠地、天満天神繁昌亭が6月30日までの休館延長を発表するなど、緊急事態宣言の解除、すぐに寄席再開とはなっていない。その中で、他劇場に先駆けての再開となった。

ざこばは、大阪府の吉村洋文知事や医療従事者への感謝を語り「とりあえずこれから一生懸命落語をやりますんで、ひとつまたいつまでもこの動楽亭をよろしくお願いいたします」と言うと、拍手が起こった。

密を避けるため、観客は30人までに制限。午後2時からの開演で、正午頃から観客が並び始め、開演10分には満員となった。入り口では検温が行われ、消毒剤が設置された。会場では、最前列の座席を従来よりも後ろにして演者との間隔を3メートル空けた。観客同士も間隔を空けて座っていた。二席目が終わると5分間、中入で10分間の換気時間が設けられた。

担当者によると、動楽亭には窓が5つ、換気扇が6台設置されている。いすも座椅子や丸椅子で自由に動かすことができる。「100人以下なので大規模にあたらない基準」と説明し、こういったことから再開に至ったと考えている。「政府のいいつけを守るとかじゃなく、お客さんに安全と思ってもらえるようなことをやらないと」と話していた。今後は段階的に観客を増やしていく。

会場内には「大阪コロナ追跡システム」のコードが掲示された。この日は担当者が列に並ぶ観客にもコードを見せて案内。案内係の女性は「基本的には対応してくれました。高齢のお客さんも、お手伝いしながら登録してくれました」と話した。

動楽亭の通常の昼席では、1カ月で700~800人ほどの観客が入るが、休館前の3月の10日間は200人ほどだったという。