個人的にはアナログ記者だと自覚している。「Zoom」だの「グーグルミート」など、今回のテレワーク生活に入ってから初めて知った。

新聞社に入った頃は、記事は原稿用紙に書く時代だったから無理もない。などとは誰もなぐさめてくれない。もちろん、原稿や写真の出稿はPCで行うが、SNSなどはやらないに等しい。余談だが、PCという言葉も今ではおっさんしか使わないらしい。

SNSをやらないとはいえ、取材などでは必要なことなので、それぞれのアカウントをもっている。自ら積極的に投稿、発信はしないだけで、アクセスすることは多い。なので、SNSの諸問題については、なんとなくだけれども、理解しているつもりだ。

恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していた女性プロレスラーの木村花さんが急死した。ネット上で激しい誹謗(ひぼう)中傷を受けていたとされており、自殺とみられる、というのが一般的な報道内容だ。

取材でもあるので、彼女のSNSをのぞいてみた。

ファンからの声援もあるが、いわゆるバッシングが多かったようだ。それも、非難の投稿は言葉もきつくなる。論理的な指摘ならまだ受け入れられるのかもしれないが、「早く出て行け」「消えてくれ」などのほか、動物に例えて「かわいい子ぶってんじゃねえよ」という罵声もあった。

匿名だから、好きな時に、思い付いた言葉を書ける。それでも、木村さんが亡くなり、このSNSへの暴言の数々にスポットライトが当たると、アカウントは続々と削除され出した。逃げ足も早い。ということは、まずいことをしたなという、罪悪感はあった、と思いたい。

それにしても、木村さんだけでなく、若手アイドルや若手芸人をはじめ、これから芸能界で頑張ろうという芸能人にとって、SNSは必須アイテムだという。それも、フォロワー数が多いほどいい。なぜなら、オーディションにも受かりやすいし、起用する側にとってもフォロワーが多いということは、スポンサーなどへの説得材料になるからだ。

だから、芸能人はフォロワー数アップのために、汗を流す。基本は更新の頻度のアップ。1日の更新の頻度が高いと、見に来る客も増える。だが、更新の頻度は労力とも比例する。そして、フォロワー数の増やし方なるサイトを見ると、商売が主体ではいけないとある。つまり、仕事のPR関連は3回に1回くらいにしろということで、残る2回は客を喜ばせる投稿を心掛けろと書いてある。

このサイトは一般人向けだから、芸能人とはちょっと違うのだろう。でも、基本はそう変わらないはず。ビジネストークばかりではファンは満足しないし、そうなると、自然とプライベートの領域まで侵入してくることになる。

人間だから表の顔もあれば裏の顔もある。本来、芸能人は表の顔を、メディアを通じて流せばよかった。それが、SNSの時代になり、かえって芸能人を苦しめているとすれば、気の毒としかいいようがない気がしてならない。