歌舞伎俳優中村壱太郎(29)尾上右近(28)が、異業種とコラボレーションした新作歌舞伎「ART歌舞伎」を7月12日に有料配信する。17日、イメージビジュアルが解禁され、チケット発売が始まった。新型コロナウイルスの影響を受け9月まで歌舞伎の劇場公演ができない状況の中、注目の若手2人が新作を送り出す。

感染拡大防止、ソーシャルディスタンスを取らなくてはいけない状況のため、かつらと衣装は歌舞伎のものは使用できないという。2人は壁を逆手に取り、モード、ファッション界で活動する人々とコラボした。

解禁ビジュアルの壱太郎の髪飾りやメークは、これまでの歌舞伎では見たことのないもの。右近の衣装も歌舞伎ではあまり見ないレザーのような質感だ。陰と陽、男と女、破壊と再生など、2つで1つの法則を体現しているという。

2人は共同でコメントを発表した。「僕ら2人の生き甲斐である『踊り』そして『魅せる』に特化した作品をつくりたい、そんな思いを胸に、素晴らしき仲間を得て、現在まさに作品を生み出しています」と、制作が進行中であるとした。

前半は先人への感謝、神への祈り、自然のありがたみを表し、後半は創作舞踊物語で、輪廻(りんね)転生をテーマに、男と女の出会い、別れ、再会を表現する。

新型コロナの影響で配信という形ではあるが、2人は「歌舞伎、日本舞踊が劇場で上演できない状況下だからつくったと言われて終わるような、そんな簡単な覚悟ではありません。やるからには続けていきたい。現代に生きる魅力的すぎるアーティストの皆様の表現を身に纏(まと)い、『今』できる最大限の表現をここに詰め込みました」と、強い決意と自信を見せている。

配信は7月12日午後7時半から、イープラスのStreaming+(ストリーミングプラス)で。3000円で見逃し配信あり。アーカイブ配信は3500円。