女優倍賞千恵子(79)が8月9日放送のBS朝日「ザ・偉人伝」(午後9時)に出演することが19日、分かった。映画「男はつらいよ」シリーズできょうだいを演じた渥美清さんとの思い出を、物語の舞台となった東京・柴又で振り返る。

誰もが知るスターの人生をひもとく番組。「男は-」で渥美さん演じる寅次郎の妹・さくらを長きにわたり演じた倍賞は、7月上旬に行われたロケで柴又駅前から帝釈天までを散歩。甘味屋の店番をする高齢男性から学校帰りの小学生まで、倍賞の顔を見れば「さくら」と認識されるなどすっかり親しまれている。

作品の撮影拠点となった和菓子店「高木屋老舗」で取材に応じた倍賞は、柴又について「代替わりしても街並みは変わらない。ふるさとのよう」と話す。渥美さんの死去から約24年、昨年50作目の映画が公開された。撮影中は渥美さんの気配を感じ、「本当にいないんだと認識すると同時に、でもどっかにいるんじゃないの?」と不思議な心境だったという。死去後1、2年は渥美さんの作品を見ることができなかったが、「いないと分かりながら、どこかにいるんだという思いがあるみたい。子供じみているけど、自分の目でさよならしたわけじゃないから納得がいっていないのかもしれない」と苦笑した。

さくらが劇中で身に着けていたエプロンは1枚だけ手元に残し、今も時折身に着ける。さくらについて「役者人生で2度とない役。人間として大事なこと、日本人のすてきなところ。人の優しさや悲しさ、世間や社会のことも習った」とし、「番組を見て渥美さんのことを少しでも分かっていただけたら。もう1度『男はつらいよ』を見てみようかなと思ってくれたらうれしい」。また「映画に出られたこと、渥美さんと仕事ができたことは誇りです」とほほ笑んだ。

同日の放送では渥美さんのほか、「てなもんや三度笠」「必殺」シリーズなどで親しまれた俳優藤田まことさんの生涯も取り上げる。