ドラマ「半沢直樹」にはまっています。もともと原作本のファンだったけれど、勧善懲悪の時代劇のような展開に、日曜の午後9時から10時すぎまではテレビにかじりついています。

以前、香川照之こと市川中車、市川猿之助、片岡愛之助、尾上松也ら歌舞伎勢の熱演を取り上げましたが、現代演劇で活躍する俳優たちも負けていません。副頭取は劇団☆新感線の看板俳優の古田新太ですし、半沢を裏切る銀行出向組の諸田役の池田成志も第三舞台を経て、つかこうへい、宮藤官九郎などの作品に数多く出演し、古田、生瀬勝久と「ねずみの三銃士」という演劇ユニットを作って公演を行っています。松也が社長を務めるスパイラルの証券会社部長広重役の山崎銀之丞も、福岡で活動していた時につかこうへいに見いだされ、「熱海殺人事件」「銀ちゃんが逝く」などに主演しています。電脳雑伎集団社長役の土田英生は劇団「MONO」の代表で、俳優だけでなく作家・演出家としても活躍しています。

16日放送からの後半戦でも、東京乾電池の柄本明が与党の大物政治家、江口のり子が大臣役で出演します。首相役の大鷹明良も80年代から小劇場を中心に活動するベテランですし、半沢に何かと邪魔する銀行の審査部次長役の佃典彦も名古屋を拠点とする劇団「B級遊撃隊」の主宰者で、俳優だけでなく劇作家・演出家としても活動しています。土田といい、佃といい、今回のキャスティングは演劇ファンにはたまらない、マニアックさがあるようです。【林尚之】