アクション俳優坂口拓(45)にインタビューをした。21日公開の主演映画「狂武蔵」の取材だった。

実はこの話を頂いた時、テンションが上がった。坂口はYouTubeで「たくちゃんねる坂口拓」を主宰し、「ウェイブ」という格闘術を紹介している。同チャンネルを視聴していた記者にとっては、話を聞く絶好の機会だったのだ。

同作で坂口は77分588人斬りワンシーン撮影に挑んでいる。だが、この撮影自体は9年前。つまり「ウェイブ」を体得する以前のことだ。同作は同シーンの前後に追加撮影シーンを加えているが、最後に追加されたウェイブをマスターした後のアクションシーンの動きとの差は一目瞭然だった。「追加撮影の動きはウェイブです。今の自分は限りなくヤバイですよ」と笑みを浮かべた。今もし同じ撮影をしたらどうなるのだろうか。「絡み方が心配。ウェイブは戦闘術でもあるので、その瞬間瞬間に全てを詰め込んでいます。77分間ずっとウェイブを使って戦い続けるのは無理なので、自分も気絶すると思う」とした。だが「興味がある」とし、「今やるとしたら24時間戦い続けるところをYouTubeでライブ配信したい。1万8000人斬りとかやってみたい!」と無邪気に笑う姿に、思わず背筋がぞくっとした。

アクション俳優として“リアル”を追求してきた。時代劇の現状を「新新太郎さんや若山富三郎さんとかの刀の振り方は独特でリアルでしたが、このままいくと文化として、ただの映像の美学でしか侍映画は残らないと思う」という。「それはそれでいい」と肯定するが、「だからこそ、僕は文化として侍を唯一表現できる人間でありたい。日本には侍や武士道という文化がある。そういうものを最後に1本か2本、大暴れして残せたら、後はYouTubeでほそぼそ生きていきます」と笑った。

坂口が考える侍、武士道とはどんなものなのだろうか。「自分の信じる大義や忠義にまっすぐ生きること。自分だとアクション道です。だからこそ自分が1度決めた道に対して譲らなくてまっすぐ生きています」と胸を張った。

そんな坂口が最後に口にした言葉が記者の胸に刺さった。「売れたいわけではなくて残したいんです。命をかけて」。