悪性リンパ腫の「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」から復帰した、元フジテレビでフリーの笠井信輔アナウンサー(57)が18日、都内のスペースFS汐留で行われた「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020」オープニングセレモニーで司会を務めた。

笠井アナは同映画祭の司会を16年務めてきたが、19年12月19日に病に倒れ入院。その入院中に、映画祭関係者や夕張の市民が寄せ書きをしたジャンパーに励まされたという。4月30日に退院し、6月に医師から「完全寛解」と診断された。

笠井アナはこの日、寄せ書きがびっしり書き込まれたジャンパーを身にまとって登壇。「入院中に届いたジャンパーでどれだけ励まされたか。耳なし芳一状態。(寄せ書きが)念になって私のがんが治った」と、僧侶が全身に般若心経を書き込んだ昔話を引き合いに出し、満面の笑みを浮かべた。

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は、石炭事業で栄えた北海道夕張市が、炭坑が相次いで閉山に追い込まれた中で観光事業へ主要産業の転換を余儀なくされた中、文化事業として立ち上げられ、成功した。ところが、06年に同市が財政再建団体に認定され運営を断念。その後、市民と有志の力で復活した。

例年、2月に開催され“真冬の銀幕の映画祭”と親しまれてきたが、節目の30回目となる今年は初めて夏の開催を目指して動いてきた。それが、新型コロナウイルスの感染拡大で中止の可能性も取りざたされたが、動画配信サービス「Hulu」がサポートし、無料で映画が見られる、史上初のオンライン映画祭として開催された。

笠井アナは「(司会は)フリーになっても、やらせて頂きます。今年で16年目。大好きで、この仕事をやっている。今年の冬がなくて、具合悪くなったのかな?」と苦笑いした。

映画の開催地・夕張の「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」と東京をオンラインでつないでの、双方向のやりとりも実現した。広場では同市民が「おかえりなさい 来年は夕張で会いましょう」と書かれた横断幕を掲げた。

笠井アナは、夕張市民から「お元気になられて良かったね。ジャンパー着て、『ただいま』と言って素敵な声と笑顔で来年は夕張に帰ってきて欲しい」と声をかけられると「夏に着たら熱中症になりそうですけど、せっかくもらったので着ていきます」と笑みを浮かべた。