佐藤浩市(59)が2日、主演映画「サイレント・トーキョー」(波多野貴文監督、4日公開)で共演した、石田ゆり子(51)、西島秀俊(49)らと、劇中で連続爆破テロの舞台となった東京・渋谷をジャックした。

佐藤、石田、西島と中村倫也(33)、広瀬アリス(25)、井之脇海(25)、勝地涼(34)は、劇中で連続爆破テロが起きてしまうスクランブル交差点を中心に、渋谷を2階建てバスで周遊。その後、会見を開いた佐藤の第一声は「容疑者、までは言って良いんですね? 容疑者です」だった。

「サイレント・トーキョー」は、「アンフェア」シリーズなどで知られる作家・秦建日子氏の小説「サイレント・トーキョー And so this is Xmas」を「SP」シリーズで知られる波多野貴文監督が実写映画化。クリスマス・イブの東京で突如発生した未曽有の連続爆破テロ事件と、その事件に巻き込まれた人々を描いた群像劇。佐藤は劇中で連続爆破テロ事件の容疑者・朝比奈仁、石田は買い物の途中で事件に巻き込まれる主婦山口アイコ、西島は一連の事件を独自に追う渋谷署刑事課・世田志乃夫警部補を演じた。

約1年前に行われた撮影では、渋谷の街を実際に使った撮影はかなわず、栃木県足利市に渋谷駅周辺を再現した巨大なオープンセットを建造。1200人前後のエキストラが連日、足利に集い、爆破テロのシーンの撮影を行った。波多野監督は「すごく幸せな体験と言うんですか。大規模な撮影は、みんなの協力がないと出来ない。頑張ってきて良かった。目線の高さで撮ることは意識した。エキストラの皆さんが1200人ほど、日々来ていただいて、ものすごくリアルだったので(渋谷スクランブル交差点を)再現できたのではないか?」と振り返った。

予告編でも、ほとんどの情報を明かしていないだけに、司会から「役目線での見どころは?」と聞かれても、俳優陣は回答に苦慮した。佐藤が「俺のキャラクターだと正直、何も言えない」と言えば、石田も「私の役が…言えないことだらけで。99分間の映画。もう、ジェットコースターに乗ったかのように進んでいく。感じてもらえたらと思います」とだけ言い、苦笑いした。

佐藤は「特殊効果の人たち、エキストラ…人間力だな。映画を作るのは人間力だと、改めて感じさせてくれる作品」と語った。その上で「渋谷スクランブル交差点は、世界中の人も知っていると言っても過言ではない日本、東京のある種、映す絵としては象徴的なもの。若者文化の中で起こる危機感…今、天災も含めて、いろいろなことが起きている。対岸の火事ではなく、自分の足元まで火が付いていると、見る方に感じてもらうことが出来ると思う」と、エンターテインメント作品でありながら、日本を揺るがす事件が起きた物語は、現代の日本社会、世界の情勢にも通じるテーマ性を内包していると強調した。