舞台「彩の国シェイクスピア・シリーズ」全37作の最後となる作品「終わりよければすべてよし」(彩の国さいたま芸術劇場大ホール)に、藤原竜也(38)と石原さとみ(34)が出演することが19日、分かった。世界的な芸術監督・故蜷川幸雄さんが演出を務めてきた同シリーズの“完結作”で、5月12日が蜷川さんの命日であることから5月に上演される。演出は蜷川さん亡き後、33作目から担当してきた吉田鋼太郎(62)が務める。

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“蜷川チルドレン”たちがその遺志を受け継ぎ、足かけ23年に及ぶ長い物語を完結させる。

出演・演出の吉田は同シリーズ最多となる5回の主演を務め、同シリーズを知り尽くしている。蜷川さんとは00年「グリークス」でタッグを組んで以来、強い信頼関係で結ばれている。「師、蜷川幸雄の下にきら星のごとき役者たちが、スタッフが、そして大勢のお客様たちが集いました。最後まで蜷川さんにやって欲しかった。見届けて欲しかった。そして一緒に祝いたかった」と残念な思いも吐露しつつ「きっと劇場のどこかで見守ってくれているであろう蜷川さんに恥ずかしくないような、喜んでもらえるような大団円にしたいと思っています」と話す。

主演は15歳で蜷川さんに才能を見いだされて芸能界入りした藤原が務める。「鋼太郎さんのシェイクスピアは格別ですので、今回はどのような作品を創り上げられるか、今からワクワクしながらその時を待ちたいと思います」。吉田は「蜷川さんの一番弟子だった彼が、蜷川さんのホームグラウンドだった彩の国さいたま芸術劇場にどんな風を巻き起こしてくれるのか、楽しみで仕方ありません」。

ヒロイン役は石原。難役だが、19年に吉田が石原の主演舞台「アジアの女」で演出を務めた際に、直々に同役をオファー。石原は「シリーズ初参加でラストを飾る記念すべき作品に楽しみと緊張で身震いしています。蜷川幸雄さんの血脈を受け継いだ吉田鋼太郎さん演出のシェイクスピア。藤原竜也さんとの舞台初共演。もう…感動です。とにかく倒れないよう精神力・体力をつけて臨みたいと思います!」と意気込む。吉田は「『あっ、この人だ!』とひらめきました。清楚(せいそ)で純朴でいながらなまめかしく魔女のようでもある。稽古場で彼女のせりふの第一声を聞くのが、今から楽しみでなりません」と期待した。

◆彩の国シェイクスピア・シリーズ シェイクスピアの全37戯曲の完全上演を目指し、蜷川さんを芸術監督に迎え98年にスタート。蜷川さんの逝去を受けて、生前の意向通り吉田が第33作目から芸術監督を引き継いだ。「終わり-」は第37作目で、伯爵バートラム(藤原)に恋する身分違いの孤児ヘレナ(石原)を中心とした物語。5月の埼玉を皮切りに仙台、大阪、豊橋、鳥栖で公演予定。