ムロツヨシ(44)が、映画「マイ・ダディ」(金井純一監督、今秋公開)で、19歳で俳優を志して25年で初めて映画に主演することが21日、分かった。ムロは妻を早くに亡くし、中学生の娘とふたり暮らしする牧師・御堂一男を演じる。ある日、最愛の娘が病気になり、信じられない事実を知らされて翻弄(ほんろう)される中、どうにかしようと動きだす父親という役どころで「この物語の父になりたいと思いました。この役というより、この父になりたいと」と、並々ならぬ意欲を見せている。

映画デビュー作の05年「サマータイムマシン・ブルース」(本広克行監督)で生まれた“縁”が、初主演映画に結実した。ムロは19年に、本広監督がディレクターを務める「さぬき映画祭」で、村上公一プロデューサーから刷り上がったばかりの「マイ・ダディ」の台本を渡された。同プロデューサーは、「サマータイムマシン・ブルース」でラインプロデューサーを務め、香川県で行われたロケで同じ宿に泊まり、撮影現場となった大学校舎に車で送り迎えしてもらってから15年来の付き合いがある。

「マイ・ダディ」は、金井純一監督が“愛”をテーマに構想4年超をかけて書き上げ「TSUTAYA CREATOR'S PROGRAM FILM 2016」で準グランプリを獲得した企画「ファインディング・ダディ」を改題した作品だ。ムロは、久々に再会した村上プロデューサーから「この作品を映画初主演作に考えて欲しい」と言われ、台本を読み込んだ。そして「こういう話があるんだけど、と渡された台本。2時間後に『やらせてください』と連絡していました」と主演をほぼ即断した。

撮影監督を務める伊藤麻樹氏も、ムロが主演したテレビ東京の19年の連続ドラマ「Iターン」で撮影を担当した縁がある。公開中の映画「ミッドナイトスワン」で、日本映画撮影監督協会の新人賞「三浦賞」を女性で初受賞した気鋭の撮影監督で、関係者によると「Iターン」での縁から「マイ・ダディ」で撮影監督を務めることになったという。

撮影は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期を余儀なくされたものの、関東近郊で20年12月6日にクランクインし、同24日に無事にクランクアップし現在、編集中だ。ムロは「なんちゃらウイルスのため撮影も延期。それでもここで、この映画製作のお知らせができることに、ただただ喜んでいます」と語った。

大ヒット中の「新解釈・三國志」など、1月時点で44本の映画に出演しているムロだが、初主演映画と御堂一男という役への思いはひとしおだ。「この父をやりきってきました。どうか、どうか、覚えておいてください。そして見たいという期待を持ってください。ムロツヨシです」とコメントした。

◆「マイ・ダディ」 小さな教会の牧師・御堂一男(ムロ)は、8年前に最愛の妻を亡くして以来、中学生になる1人娘を男手ひとつで育てている。決して裕福とは言えないが、アルバイトと掛け持ちながら牧師という慕われる仕事をし、自分を頼りにしてくれる職場もあるから幸せだったが娘が病に侵されてしまう。