札幌の女子高生2人組ニューテクノバンドLAUSBUB(ラウスバブ)が世界から注目を集めている。昨年12月末に公開した楽曲「Telefon」が1月中旬にSNSを通じて爆発的に拡散。ドイツの音楽プラットフォーム「SoundCloud」では世界的人気の韓国男性音楽グループBTSを抑え週間チャート1位に。コロナ禍の昨年3月に結成した新世代のテクノサウンドに注目だ。

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グラミー賞候補のBTSを抑え世界1位になったのは女子高生のサウンドだった。岩井莉子、高橋芽以(ともに17)からなるテクノバンドLAUSBUBが音楽ファンから注目を集めている。岩井は「不思議な気持ち。まさかこんなに聞かれるようになるとは。とにかくびっくりしているけど、聞いてもらってありがたい」と驚きを隠せない。

アナログシンセサイザーやサンプリングを多用した楽曲「Telefon」が先月中旬にSNSで火が付くと、「SoundCloud」で週間チャート1位を獲得。「クラスで帰宅部だと思われていた」という作詞作曲の岩井は、反響が広がり「クラスのBTSファンに殺されかけました」と冗談めかす。サカナクション山口一郎にも評価され全国放送のラジオ番組にも出演した。高橋は「人に届いている感覚がある。SNSやメールで対応しきれないほど連絡を頂いてありがたい」と話す。

札幌市内の高校(非公表)の軽音楽部に所属する同学年2人で昨年3月に結成。楽曲はコロナ禍で活動が制限される中で生まれた。中学時代にYMOに衝撃を受けた岩井がシンセサイザーや電子楽器でカラオケを作り、遠隔レコーディングで曲や歌を乗せていく。楽曲「Telefon」は昨年10月の全道高校軽音楽新人大会石狩地区予選に向けて約1カ月で制作した。

楽曲が生まれるきっかけは83年公開のオーストリア映画「アングスト」。昨夏に2人で映画館で鑑賞後「あのシーンの音楽、絶対良かった」とドイツ人作曲家が作る劇中音楽に触発された。「自分の好きな音楽と、周りが聞いてくれる音楽のはざまを探り」岩井が曲を作り、小気味良い語呂を意識した歌詞に高橋のあどけなさの残る歌声を乗せた。

注目度は急上昇で新曲も制作中だが「まだまだ2人とも楽器初心者だし、自分たちの好きなことをやっていきたい」(岩井)。互いに高校2年生。高橋は「大学進学してから徐々に活動の幅は広げていきたい」。バンド名「LAUSBUB」はドイツ語でいたずらっ子を意味する。マイペースに遊び心あふれる音楽を紡いでいく。【浅水友輝】

◆LAUSBUB ギター、シンセサイザー、DJ、エレクトロニクス担当の岩井莉子(いわい・りこ)は2003年(平15)6月4日、歌志内市出身。ボーカル、ベース担当の高橋芽以(たかはし・めい)は2003年(平15)8月17日、札幌市出身。これまで3曲をSoundCloudなどで公開。岩井は長州力のファンで「いつかプロレスラーさんの登場曲とかをやらせてもらえないかな」。高橋の好きな歌手はロックバンドゆらゆら帝国の坂本慎太郎。

◆SoundCloud ドイツ・ベルリン発祥の音声ファイル共有サービス。同社ホームページによると、07年の設立以来、アーティストと直接接続する機能やポッドキャスト機能を有し、世界最大規模の音楽プラットフォームに成長。今年1月の発表では世界190カ国で3000万人のクリエイターが参加し、2億5000万以上の楽曲が聞かれている。