サザンオールスターズ桑田佳祐(65)が7日、ソロとして初の無観客配信ライブ「静かな春の戯れ~Live in Blue Note Tokyo~」を行った。新曲「SMILE~晴れ渡る空のように~」の初歌唱など、約2時間で全24曲を「シンプルかつ、少々大人な雰囲気」で披露した。ソロライブは18年12月以来。

ブルーライト、キャンドル-。文字通り「おとな」という言葉がぴったりだ。セルジオ・メンデスのライブなど観客として何度も訪れた世界的な音楽の殿堂、東京・南青山のジャズクラブ「Blue Note Tokyo」に、アーティストとして初めて立った。

「このステージに上がるのが、本当に自分にとって憧れだった。本当だったら、お客さんの前でやらせていただきたかったなという思いがありましたが、今日は、素晴らしいメンバーと集まって、楽しくライブをやらせていただきたいと思います」と、感慨深い表情で語った。

「SMILE-」は、民放各局がタッグを組んだプロジェクト“東京オリンピック民放共同企画「一緒にやろう2020」”の応援ソングとして書き下ろされた。だが、1年の延期を受け、これまでリリースや歌唱されることはなかった。

桑田は「延期になりましたけども、みなさんが、こういうコロナ禍でも、なんか元気になれそうな気がすると言ってくれる。アスリートのみなさんにも、我々のエールが届くように、本日、みなさまの前で初めて歌わせていただきます」と思いを込め、歌唱した。

セットリストは、桑田のソロ、KUWATA BANDの楽曲を中心に構成された。浅川マキの「かもめ」、加藤登紀子と長谷川きよしの「灰色の瞳」など、桑田がリスペクトし、影響を受けた昭和40~50年代の名曲のカバーも含まれた。

アンコール前には、リハーサルの映像などとともに、桑田のインタビューが流れた。

「こういう状況なので、いつものブルーノートではないというか、ブルーノートの神様は寂しいだろうなって。触れ合いながら、やってみたいなとも思いますけど、コロッケなんか来させたりね(笑い)。今の時代だからこそ、どんどん大きく拡張するばかりでなく、もう少し、人を感じる距離で、小さな音で、戯れるじゃないけど、そういうのやりたいなあというか。我々は歌を歌うくらいしかできないけども、未来を生きる人たちへのエールというかね、歌うことによって、つながっていきたいなって改めて思いました」と語った。

昨年はサザンとして、横浜アリーナから2回、無観客ライブを配信したが、今回はソロで、人数も桑田を含め9人と、雰囲気も一転した。重苦しいコロナ禍に、明るい春の陽気を届けるライブとなった。

収益の一部は「Music Cross Aidライブエンタメ従事者支援基金」を通じ、ライブエンタメ業界のために役立てる予定だという。【佐藤勝亮】