市川海老蔵(43)と長男堀越勸玄君(7)が出演する「海老蔵歌舞伎」(5月29~30日、東京・明治座、6月4~13日、京都・南座)の上演が決まり、古典の名作「実盛物語(さねもりものがたり)」で親子共演することが16日、分かった。かつて海老蔵の祖父と父、父と海老蔵も共演した演目。34年ぶりに成田屋親子の「実盛物語」が実現する。

知勇を備えた平家の武将実盛を海老蔵が、いずれ実盛と戦うことになる太郎吉を勸玄君が演じる。実盛の器の大きさや、母親を思う太郎吉のけなげさ、実盛が太郎吉を馬に乗せる場面などが見どころだ。

成田屋親子と「実盛物語」との関わりは65年前にさかのぼる。56年1月、海老蔵の祖父11代目市川團十郎さん(当時9代目海老蔵)と、父12代目團十郎さん(当時市川夏雄)が実盛と太郎吉を演じ、87年5月、父團十郎さんと海老蔵(当時7代目新之助)が同じ役で共演している。

海老蔵は「かつて父とともに舞台に立った時を思い返し、感慨深く、今回せがれの勸玄と演じられることを大変うれしく思っております。当時9歳の私は、馬に乗るのがとてもうれしく、父の馬に乗った実盛の姿がカッコ良かったことを覚えております。勸玄が稽古に励み太郎吉をつとめられるよう、祖父、父がしてくれたように、親として見守りたいと思っております」とコメントした。

勸玄君も「父としっかりとお稽古をして太郎吉ができるように、一生懸命がんばります。馬に乗れるのもうれしいです」と話している。勸玄君にとっては南座出演も初めてで「はじめて京都で舞台に立てるのが楽しみです」。

若い世代が活躍できる場にしたいとの思いを込めた「海老蔵歌舞伎」で、海老蔵は勸玄君の学びと成長を期待している。

新作舞踊「KABUKU」も上演される。「金田一少年の事件簿」など人気漫画の原作者として活躍する樹林伸氏が作、海老蔵が主演と演出をつとめる。2人のタッグは09年の「石川五右衛門」以来2回目。海老蔵が音声SNSアプリ「Clubhouse(クラブハウス)」で語った、日本を元気にしたいとの思いが構想のきっかけになったことから「夢が現実となる今だからこそ生まれる歌舞伎。この時代に生まれた新たなSNS『Clubhouse』から、ついに新作歌舞伎舞踊も誕生します。ぜひご期待ください」と話している。