昨年5、6月に予定されながら延期された、ワハハ本舗の全体公演「王と花魁」が、10月28日から全国13カ所17公演行われることが決定した。緊急事態宣言が延長された中でも、全体公演や笑いにかける思いを、柴田理恵(62)梅垣義明(61)ポカスカジャン大久保ノブオ(54)と主宰の喰始氏(73)に聞いた。

喰氏は「先が見えない状況なんだけど、ただひたすら冬眠するだけでは気持ちがすさむ。和っぽい怪獣歌舞伎とかヘビメタ花魁(おいらん)もやるんですが、唐十郎、つかこうへいのパロディーも。いろいろな要素を入れ込もうと思っています」。

公演への思いは皆、強い。柴田は「去年の10月、久しぶりに舞台に立って、生の実演というものは本当にいいもんなんだなって、しみじみ思った。自分が芝居を始めた時の原点に戻れたのはよかった」と振り返った。梅垣は「1月、2月の単独公演が延期になって配信に。改めて舞台のありがたさをつくづく感じた。配信もやっていかなくちゃいけないと思っています」。大久保は「芸人の前では『ミュージシャンです』、ミュージシャンの前では『お笑いですよ』と(笑い)。でも突き詰めて考えると、基本的にはお笑いの人でありたい。コロナ禍でいろいろ感じることができました」と話している。

コロナ禍ならではの笑いのプランも進行中だ。喰氏は「お客さんのマスクにメッセージを書いた写真を募集してます。『笑うぞ』『頑張って』とかメッセージを書いてきてもらう。応援隊長の泉谷しげるさんの応援ソングに乗せて、その映像を流してキャンペーンをやる。ワハハの公演は、客席との絡みが売りだったりもするんだけど、そこを逆手にとってどうやるかですね」。

柴田は「劇場の安全対策は万全です。誰もしゃべってないし、マスクして笑ってるんだからね」。笑えない状況でも、笑いに対しては真剣だ。【小谷野俊哉】

◆ワハハ本舗(ほんぽ) 84年、東京ヴォードヴィルショーの若手だった佐藤正宏、柴田、久本雅美、喰氏によって旗揚げ。現在は複数のセクションがあり、猫ひろし、正司歌江、ウクレレえいじらが所属。バラエティー形式の公演で人気を集め、下ネタも多い。06年のNHK紅白歌合戦でDJ OZMAに、裸に見えるスーツを貸し出したことも話題となった。