世界第2位のシェアを占めるオランダのビール会社ハイネケンが8日、新型コロナウイルスのワクチン接種を推奨する動画広告をSNSに掲載したことで不買運動が発生している。

問題の広告は、高齢者がナイトクラブでビールを飲みながら踊ったり、ビーチで海に向かって走っていく内容で、「ワクチンを接種すれば楽しい夜が過ごせる。あなたも仲間に加わりましょう」とのメッセージが最後に出てくる。

この動画に不快感を覚えた反ワクチン派の人たちが、#BoycottHeineken(ハイネケンをボイコットしよう)とハッシュタグをつけて抗議。SNSで瞬く間に拡散され、翌9日には英国でトレンド入りしている。中にはハイネケンのビール瓶のふたを開けて中身を流し台に捨てる動画を公開する人や「ワクチン推進のプロパガンダだ」と企業批判する人もいる。欧米ではワクチン接種に懐疑的な考えを持つ人が少なくなく、SNSでは多くのデマ情報も拡散されている。

ハイネケンの広報担当者は、「広告はワクチン接種済みの高齢者が安全にバーやクラブで楽しみ、再び交流できることを祝う内容で、それは私たち皆が待ち望んでいることでもあります」とコメントしている。

ワクチン接種の促進活動をするビール会社は他にもあり、世界3位のシェアを誇るバドワイザーを製造するアンハイザー・ブッシュも今年2月に開催されたNFL王者を決めるスーパーボウルで、37年ぶりにCMの放映を取りやめる代わりに広告費をワクチン接種を呼びかける啓発キャンペーンに寄付している。

また、7月4日の独立記念日までに成人の70%が少なくとも1回のワクチン接種を終えるというバイデン米大統領の目標が達成された場合は、21歳以上の成人全員にビールを無料提供することも発表し、ワクチン接種を促していた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)