女優長澤樹(15)が今日1日公開の映画「光を追いかけて」で、ヒロイン・真希を演じている。このほど日刊スポーツのインタビューに応じ、初の演技となった同作や、将来について語った。

同作は、過疎化の進む秋田にある架空の美しい田園を背景に、傷つきやすい思春期の少年少女と、将来を心配する大人たちを描いた。

「青春らしさもありながら、メッセージ性もあって、秋田の魅力も入っていて。盛りだくさんの映画なんですけど、きっと静かで、きれいな映画になるんだろうなって思っていました」

演じた真希は、不思議な魅力を放つ不登校の中学2年生。自分とは「正反対だった」といい、初演技で引き出しの無さから不安な気持ちにもなったという。

「『えっ、私と全然違う』って思いました。最初の印象は台風みたいな子でした。自分が台風の目で周りをドンドン巻き込んでいくみたいな、そうやって進んでいく女の子だと思っていて。私はどちらかというと巻き込まれる側なので(笑い)。だからちょっと、あこがれの存在ではあったかもしれないですね」

役作りに際し、監督からは「真希のことは樹ちゃんが一番分かっているから」と言われたという。最初は意味が分からなかったというが、秋田に行くと、自然とスイッチが入った。

「最初、その意味が全く理解できなくて…。監督の中に真希ちゃん像があるはずで、私がそれに近づけていく感じかなって思っていたんですけど。そうやって言っていただいて、うれしいと同時に『わかっているのかな? 私』みたいな不安もありました。でも秋田に行ったら、もう『自分が真希ちゃんだ』という感じがしていて。特に何かをしたというわけではないんですけど」

コロナ禍で公開が延期になったが、長澤にとっては初演技の作品だ。撮影は「ずっと楽しかった」という。

「もう2年たつんだっていうのもあって。つい最近撮影したような気もするし、もっと前に撮影した気もするしっていう。時間の感覚とかが不思議なんですけど、やっといろんな方に見ていただけるんだっていうのは、やっぱりうれしいし。それで、見た方がどう思うんだろっていうのはちょっと気になりますね」

豪華共演者が脇を固めた。柳葉敏郎(60)は真希の叔父役で出演した。

「最初は怖かったです(笑い)。私がおびえている部分があって、面と向かって演技をするというのが結構不安でした。インして、柳葉さんとのシーンが1シーン目でした。私が1回、間違えてしまったシーンがあって、その時に『ドンマイ!』って言ってくださって。そこで緊張がほぐれましたね。今では本当の叔父さんみたいな方です」

元乃木坂46で女優の生駒里奈(25)は、クラスの担任の先生役で出演した。

「(不登校の生徒役だったので)ご一緒するシーンは、あまり多くなかったんです。でも、ガソリンスタンドで夜のシーンを撮影した時、本当に夜遅くでスタッフの方々も疲れて、現場の雰囲気が落ちていっている中で、生駒さんが入ってこられて。その時に雰囲気が明るく、急にパッと華やかになったんです。『そういうパワーがある方なんだ。見習いたいな、さすがだな』と思いました」

小学5年生の時にオーディションで合格し、芸能界入り。「憧れ」だと話すオードリー・ヘプバーンをモデルだと勘違いし、モデルの道を歩み始めた。

「漠然と『ああいう人になりたい』というのがあって。写真を見て知ったので、最初は『すごいきれいなモデルさんだな』って思っていたんですけど、女優さんだったんです。オードリー・ヘプバーンさんが出ている作品を見ると、自分も幸せになったり、元気をもらえて。そういう力が演技にはあるんだなと思って、自分もやりたいと思うようになり、ここ1~2年で演技もやり始めました」

母や祖母の影響で好きになったという。好きな部分を聞くと、目をひときわ輝かせた。

「見た目ももちろんですけど、とにかく心がきれいなんだと感じています。伝記などでしか知らないですけど、自分が持っている地位や名誉、お金を自分のためというより、困っている人、子どもたちのために使っているのを見て『普通できないよ』と思っちゃいました。自分だって少なからず欲しいものや、やりたいことがあるはずですし。でもそのやりたいことが、きっと人を助けるとかだったんだろうと思うと、心がきれいなんだろうなと思い、魅力を感じました」

長澤の武器は「目力」だ。オードリー・ヘプバーンのようなきれいな顔立ちで、15歳にして年上の役を多く演じている。中学入学時には、成人式の写真撮影かと勘違いされたほどだ。「化ける」女優業には、やりがいも感じている。

「女優さんだったら、絶対に生きていて経験できない役が出来るなって思っています。そこがすごく楽しいポイントでもあります。飲食店のアルバイト役とかにも興味がありますが、宇宙飛行士とか、簡単にはなれない職業とかをたくさん演じてみたいです」

今後は舞台や映画、広告にと、幅広く活躍していきたいという。

「やったことがないことは、とりあえずやってみたいです。あとは、映画みたいなドラマとか、そういうきれいな作品や落ち着いた作品には出たいなって思っています。まずは『光を追いかけて』を見終わった後に、少しでも幸せだなって思って欲しいです。自分の居場所、秋田という場所も再確認して、好きになって欲しいなと思っています」

◆長澤樹(ながさわ・いつき)2005年(平17)10月24日、静岡県生まれ。小5年で芸能界入り。20年「破壊の日」で映画初出演。21年フジテレビ系ドラマ「青のSP-学校内警察・嶋田隆平-」などに出演。「パナソニックホームズ」など広告にも多く起用されている。趣味は読書、特技はクラシックバレエ、ピアノなど。161センチ。