信念を貫いた生き方で多くの人びとに感動を与えた文化人・表現者を顕彰する、今年の「種田山頭火賞」が俳人の夏井いつきさん(64)に決まり27日、オンラインで授賞式が行われた。

TBS系バラエティー番組「プレバト!!」の「才能査定ランキング」で俳句部門を担当し、俳句の裾野をひろげたことなどが評価された。

夏井さんは「おもいがけないというのはこういうことなのかなと思います。俳句の都、松山を拠点に、俳句をなりわいとして生活してきました。俳句の種まき運動をやってきましたが、なかなか芽が出ない。俳句は古くさくて、退屈で、つまんないと思われ、骨身に刻まれました。60歳を超えてやっとご恩返しができたかなと、自分を褒めてやろうかなと思ったら、このような賞をいただきました。人からほめられてうれしいと、しみじみ思います」。とあいさつした。

俳句については「感じたことを書くのではなく、なぜそのように感じたのか、そう感じさせたのか、基になった映像を切り取っていく文芸だと思っています」と話した。

夏井さんには、山頭火が生まれた山口県防府市在住の書家・富永鳩山氏の筆による山頭火の句「もりもりもりあがる雲へあゆむ」などが贈られた。

漂泊の俳人・種田山頭火の全集や数多くの書籍を刊行してきた春陽堂書店は、創業140年の記念事業として、18年に「種田山頭火賞」を創設した。選考委員は、嵐山光三郎氏と林望氏。第1回は麿赤児さん(舞踏家・俳優)第2回は伊藤比呂美さん(詩人・小説家)、第3回は碓井俊樹さん(ピアニスト)が受賞している。