V6が解散した。過去、解散をこれほど温かく受け入れられ、見守られたアイドルグループは記憶にない。V6ならではである。

残念だったのは、V6にとって“聖地”とも言うべき国立代々木競技場第一体育館(略・代々木第一体育館)が、東京五輪などの影響でラストライブに使用できなかったことだ。V6は1995年(平7)11月1日に、同体育館の特設ステージでイベントを行い誕生した。

解散直前の10月30日に放送された、井ノ原快彦が司会を務めるテレビ東京系「出没!アド街ック天国」では、代々木第一体育館の周辺が特集された。V6のファンで揺れた歩道橋や、メンバーで訪れたラーメン店などが紹介された。確かにV6と言えば、代々木第一体育館をイメージする。

10周年も20周年も記念コンサートを開催した。昨年11月の25周年記念はコロナ禍の影響で、同体育館からの配信ライブだった。この配信ライブを含め、V6は同体育館で102回のコンサートを行った。この時、井ノ原は「102回目ではなく、新しい1回目にしたい」と誓っていた。残念ながら、解散の日に戻ることはできなかった。

V6と代々木第一体育館のように、アーティストとコンサート会場が一体のように感じるのは、他にサザンオールスターズと横浜アリーナ、矢沢永吉と日本武道館、嵐と東京ドームなどがある。

東京ドームの公演記録はジャニーズ勢が独占している。通算回数では上位3位までが嵐の88回、KinKi Kidsの59回、SMAPの41回である。ちなみに矢沢永吉の日本武道館公演は142回でダントツだ。会場規模が違うので一概には言えないが、V6の102回もダントツの1位で、すごい記録だ。

国立の競技場なので無理を承知で言うが、V6の聖地の証しとして、碑などができるとうれしい。【笹森文彦】