バイオリニスト川井郁子(53)のデビュー20周年音楽舞台&コンサート「月に抱かれた日・序章~ガラシャとマリー・アントワネット」(10~12日に東京・新国立劇場、28日に大阪・梅田芸術劇場)の取材会が8日、都内で開かれた。

立体ホログラムやCGを駆使した映像と、生の演奏がコラボしたステージ。川井はヨーロッパのマリー・アントワネットの耳にまで届いた、戦国時代の宿命に露と消えた悲劇の主人公・細川ガラシャ(玉)を、川井の娘の花音(かのん)さん(15)が若き日のガラシャを演じる。夫の細川忠興の若き日を、忠興の子孫である細川護熙元首相の孫の三井高聡(たかあき)さん(15)が演じる。高聡さんは、細川元首相の長女智子さんの息子。

花音さんとともに会見した川井は「私は常々、言葉を持たない音楽の持つ、無限の想像力を生かした舞台を作りたいと思っていました。ビジュアル、身体表現を使って、音楽の表現を広めたい」と話した。

演奏会ではなく、舞台で演じるのは初となる花音さんは「せりふはないけど、日舞を初めて披露します。緊張より、今まで練習してきたものを披露できるワクワクの気持ちの方が強い」と笑顔。共演の三井さんについては「同い年で、幼稚園が一緒でした。すごくしゃべりやすくて、練習の時は楽しくて、気合も入りました」と話した。

ガラシャは下克上の謀反人となった明智光秀の娘で、関ケ原の戦いの前に人質になることを避けて、夫・忠興のために自害した。川井は「あの時代の女性で、自分の意思で生き方を決め、それを貫くには、とてつもない意思と激しさがないとできない。とても気性の激しい女性だったと聞きますが“もう1人の自分”に出会って、心の広い女性になったと言います。違う自分に変われる、不思議な魅力をガラシャに感じます」と話した。

デビューからの20周年で印象的だったことについて、川井は「寺山修司さんの舞台で、ある役になって実際に舞台に立って弾いたら、開放的になれて新しい自分になれた。あとは自分の作品をミッシェル・クワァン選手、羽生結弦選手、荒川静香選手などフィギュアスケートの選手が使ってくれたのは光栄だし、感動した。自信をもらいました」と振り返った。10日からの舞台については「きっと驚くような音楽ファンタジーをお見せできると思う。これから音楽表現をする人のヒントになるような舞台になったら。細川ガラシャが心に刻まれるようなパワーのある舞台にしたい」と話した。