「小指の想い出」「四つのお願い」「なみだ恋」など数々のヒット曲で知られる作曲家の鈴木淳（本名・藤田順二郎）さんが9日、都内の自宅で虚血性心不全のため死去した。87歳だった。12日に親族だけで密葬を行った。喪主は妻で作詞家の悠木圭子さん。後日、しのぶ会を開く予定。

山口県防府市生まれ。早大教育学部国語国文学科卒業。音楽雑誌社勤務や高校教師を経て、63年（昭38）に「恋なんてしたくない」（西田佐知子）で作曲家デビューした。67年の「小指の想い出」が大ヒットして一躍、人気作曲家となった。以後、「霧にむせぶ夜」（黒木憲）「忘れるものか」（石原裕次郎）「四つのお願い」「X＋Y＝LOVE」（いずれもちあきなおみ）「なみだ恋」「ともしび」「おんなの夢」（いずれも八代亜紀）「愛のきずな」（安倍理津子）「女…ひとり旅」（田川寿美）「浮雲」（香西かおり）「好きだから」（アド）など、悠木さんとのコンビも含め数々のヒット曲を生んだ。

日本テレビ系「全日本歌謡選手権」の審査員を務め、五木ひろしや八代亜紀のデビューに貢献した。鈴木淳音楽学院で育成にも尽力し、昭和の歌謡界大全盛期を支えた。98年に日本レコード大賞の第1回吉田正賞受賞。日本作曲家協会理事長、日本音楽著作権協会理事などの要職を務めた。05年に旭日小綬章受章。