「第34回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」が昨年12月28日に日刊スポーツ紙面とニッカンスポーツ・コムで発表されました。発表当日に掲載しなかった部分も加えて、受賞者インタビューでの言葉をあらためて掲載します。

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石原裕次郎新人賞に名を刻んだ眞栄田郷敦(21)は、歴史に名を残したいと幼い頃から思っていたという。「歴史に残るっていうのは一番の持つべき目標。なんか小さい頃から漠然と思っていることなんですよね」と自らを少し不思議がるように語り出した。眞栄田が生まれる13年前に裕次郎さんは亡くなったが「もちろん知っています。レジェンドだということを」と印象を述べ「歴史に残るような方ですよね。そういうのは絶対に目指していきたいです」と続けた。

「東京リベンジャーズ」では、原作でも人気の三ツ谷隆役を演じた。「ここまで注目されるような作品に関わらせていただいたということで、視野も広がりましたし、もっともっとああいう本当にたくさんの人が楽しんでエンタメとしてみてもらえる作品にもっと出たいという気持ちもありました」。一方で「それと同時に、万人受けしなくても、自分を試せるというか、お芝居の部分で、もっと人間の内側をすごく表したような。リベンジャーズが深くないという意味ではないんですけど、深みのある、アカデミックな作品も両方できる役者になりたいなとは思いますね」とも明かした。

「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」は映画3本目だった。「まだ本当に芝居をすることとか、あんまりよく分かっていない状態でした。当時はすごくチャレンジングな役でしたけど、(田中)圭さんとか(山田)裕貴とガッツリ絡めたっていうのがすごく良い経験になりました。あの頃の自分の100%は出したつもりです」。

映画デビュー3年目。「もうちょっと賞を頂けるのは先かなと思っていた」といいつつ「自分がやってきたことが間違っていなかったんだ、このままでいいんだ、このやり方で突き進めていけばいいんだって自信にはつながっています。いいものがさらに生まれていく気がしますね」と顔をほころばせた。

昨年の下半期頃から、俳優業がより楽しくなってきたという。「最初の頃はわからないことばかりで悩みがありましたが、今は『こうやりたいんだ』、監督は『こうやりたいんだ』って一緒に作り上げていくみたいな。すごく良いシーンが撮れている時の現場の空気感とか、妥協せずに作品を作っている時間みたいなのがすごく楽しくて。その時間が多いほど良い作品になると思う」。

裕次郎さんと並び、昭和映画界の大スターである父・千葉真一さんの意志も継いでいる。「父親はやっぱり世界基準で(ものごとを)みていました。世界で戦えないと意味がないってことはすごく言っていたので。まだ修行させていただきますという感じです」。

目指す道とは。

「役者に限らずいろんなことはしたいなっていう思いはずっとありますけど、今はとりあえず、その現場での良い瞬間を求めるというか、そのためにやっぱり毎日1分1秒じゃないですけど、全力で100%、妥協せずに1秒1秒大事にしようとするしかないですね。それの積み重ねかなって思っています」

きちんと立ち上がってあいさつする気品、現場好き、スケール感、同じ身長183センチ。どこか、裕次郎さんに重なる要素をかもしだす。偉大な父親からの教えも胸に、歴史に残る大スターへの階段を駆け上がっている。【佐藤成】

◆眞栄田郷敦(まえだ・ごうどん)2000年(平12)1月9日、米ロサンゼルス生まれ。幼少期をアメリカで過ごす。19年に映画「小さな恋のうた」でデビュー。TBS系ドラマ「ノーサイド・ゲーム」「プロミス・シンデレラ」、WOWOW「キン肉マン THE LOST LEGEND」などに出演。特技はサックス、空手、ギター、殺陣。兄は俳優の新田真剣佑。183センチ。血液型B。

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◆「東京リベンジャーズ」 花垣武道(北村匠海)は元彼女の橘日向(今田美桜)と弟直人(杉野遥亮)が東京卍曾に殺されたことを知った翌日、駅のホームから落ち10年前にタイムリープ。日向を救うためには、弐番隊隊長三ツ谷隆(眞栄田)が属する東京卍曾を消滅させるしかなかった。

◆「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」 長野五輪ラージヒル団体戦1本目で、日本は4位に後退し、猛吹雪で競技も中断。審判員はテストジャンパー25人全員が無事に飛べることを再開の条件として提示し、日本の金メダルへの希望は西方仁也(田中圭)南川崇(眞栄田)らに託された。